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『ソニーをダメにした「普通」という病』を読んだ

ソニーをダメにした「普通」という病

横田宏信 / ゴマブックス株式会社

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つい最近、投資ファンドにPC事業を売却することを公表し、いよいよ衰退した感の強い、ソニーの「内幕暴露本」。著者横田氏はソニーで物流関係の仕事を経験した後に、経営コンサルタントに転進した人物。内と外、両方から見たソニー衰退の原因を述べています。

先ほど「暴露本」などと書きましたが、決して横田氏はソニーを誹謗中傷しているわけではありません。むしろ今でもまだソニーという会社に愛着があり、その復活を強く願うという気持ちにあふれた文章だったと思います。

企業が大きくなると、意思決定のスピードが遅くなり、時流の変化についていけなくなる。チャレンジして失敗するよりも、無難な安定を望む。管理職ばかりが増えて、意思決定が混乱する…。企業衰退を語るときのステレオタイプの切り口ですが、この、ありとあらゆるパターンの切り口にすべて当てはまってしまっているのが現在のソニーの姿。

かつて一世を風靡した小型再生専用カセットプレーヤー、ウォークマン。私の高校~大学時代はウォークマンを持つのが夢だったですね。他のメーカーが追随はしたものの、ぶっちぎりの人気を誇っていたのはウォークマンでした。トリニトロンという目新しい言葉で華々しく登場したテレビに、Mac同様、持つこと自体を一つのステータスにしたPC、VAIO。多くのゲーマーをとりこにしたプレーステーションシリーズと一連のゲームソフト。「アメリカの魂を買われた」とまで言われたコロンビア映画の買収など、とにかく目立つ元気のいい会社だったというイメージがありました。家庭用ビデオプレーヤーではベータマックスで結局失敗しましたが、性能そのものは非常に高い評価を得ていましたね。

高い技術に裏打ちされた、信頼性の高さと、世間の耳目を惹き付ける「文化的な活動」。大きくなるべくしてなった会社ではありますが、現在の状況を鑑みるに、衰退すべくして衰退しているという印象を受けます。

ソニーみたいな派手な会社が目立ってくれないと、いくらアベノミクスだなんだと騒いでみても薄ら寒いだけです。ある意味日本の産業の将来を占う存在であるソニーには是非復活していただきたいものですね。
by lemgmnsc-bara | 2014-02-07 19:39 | 読んだ本

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