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『マユツバ語大辞典』を読んだ

マユツバ語大辞典 (新潮新書)

塩田 丸男 / 新潮社

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TVのワイドショーなどでの毒舌が人気の評論家塩田丸男氏による、様々な「マユツバ語」とその言葉が発生して来た背景に関するエッセイ集。2007年の発行なので、まだ記憶には新しいものの、すでに古くさい「マユツバ語」の数々が収録されています。

近年のTVバラエティーは映像を見て、その場にいるひな壇芸人が何らかのコメントを発して笑いを取ったり共感を得たり、っていう展開のものが多いですね。そんな風潮に感化されたのか、政治家やいわゆる有識者たちの発言も、その場の雰囲気に支配されたものが多くなって来たように感じます。「劇場型政治」の第一人者だった(最近また復活して来ようとしてますが…)小泉純一郎氏などは、この辺の才能はずば抜けていたと思います。跡継ぎの進次郎氏にもすでにしてその片鱗がみられますね。公の場での発言の的確さは群を抜いていました。

しかし、その場だけでウケる発言というのは、後々になってよく考え直して意味を吟味してみると「マユツバ語」に相当するモノが多いというのも事実ですね。とくに「たとえ話」の類いは、その場ではわかったつもりで感心していても、実は煙に巻かれただけ、という結果を生み出しやすいから始末に悪い。また、政治家の皆さんはこのたとえ話が大好きだし、実際に上手くもある、というのは塩田氏の言。

たとえ話としてはズバリ核心をついているものの、表現としてどうかと思われるのは小沢一郎氏の「どの女と寝ようと勝手だ」という発言でしょう。当時は、それこそ今話題の細川護煕氏が代表を務めた日本新党が中心となった連立政権が発足し、与党自民党が初めて野に下った、いわゆる「55年体制」が崩壊していました。その時に連立与党の取りまとめ役だった小沢氏が発したのが件のお言葉。連立与党の体制と実情を見事に言い表した言葉ではありますが、身もフタもない発言であったのも事実。この言葉のせいばかりではありませんが、連立与党政権は短命に終わりましたね。

まあ、しかし、こんな風にわかりやすいのは失言としてカテゴライズされちゃうというのも塩田氏の言。失言とはいかなくても、なにやら危うい雰囲気を背後に隠している言葉というのが「マユツバ語」の定義でしょうね。

さて、今回の都知事選にはどんな「マユツバ語」が登場するでしょうか?国の政策であるはずの原発問題が重要な争点になっている事自体すでに「マユツバ」状態って気もしますがね…。
by lemgmnsc-bara | 2014-01-26 07:32 | 読んだ本

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