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『陰陽師 天鼓ノ巻』を読んだ

陰陽師 天鼓ノ巻 (文春文庫)

夢枕 獏 / 文藝春秋

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安倍晴明と源博雅のコンビが様々な怪異を解決していく『陰陽師』シリーズ11作目。今巻からは盲目の琵琶法師として高名な蝉丸が登場します。

笛の名手である博雅と琵琶の名手である蝉丸。二人が奏でる音色は、時には晴明の術よりも大きな力を持ち、あやかしたちを撃退したり、「成仏」(陰陽道なのでこういう言葉を使ってよいのかどうかわかりませんが…)させたりします。文中でもこの二人が「セッション」する様子が描かれますが、是非本物を聴いてみたいという気にさせられました。

今巻の中で一番印象深かったのは、他ならぬ蝉丸が「主人公」の『逆髪の女』。蝉丸には草凪という妻がいたのですが、別の女性に心移りがしてしまい、草凪を捨ててその女性の下に走ってしまいます。草凪とその侍女の芭蕉は蝉丸を恨み、呪いをかけて自決します。その呪いにより蝉丸は目から光を失ったのでした。

桜が舞い散る、ある夜晴明と博雅のもとを訪れた蝉丸には髪の毛を逆立てた女が取り憑いているようでした。その女の正体とは、そして晴明が講じた策とは…。

作品の底辺を流れる人情味と哀愁は日本人ウケするでしょうね。こんな意地の悪い見方をせずに、素直に感動しておきたい一編でしたね。

気のいい源’ワトソン’博雅と安倍’ホームズ’晴明の活躍はまだまだ続くようです。今後、蝉丸はやはりその琵琶の腕でなにかしら関わってくるような展開になりそうですね。
by lemgmnsc-bara | 2014-01-12 11:59 | 読んだ本

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