人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『シンガポール生活者の手記 海外就労に関する非扇動的考察』を読んだ

シンガポール生活者の手記 海外就労に関する非扇動的考察

雄山洋 /

スコア:




Kindle無料DLシリーズその3。題名通り、シンガポールで就職し、彼の地で二年半を過ごした著者の手記。日本の職に関する状況との違いがしっかりと語られていました。

シンガポールは都市国家です。狭い国土に多くの人間が住んでいますが、国土の狭さ故に第一次産業、第二次産業ともに国際的な競争力は持ち得ません。したがって第三次産業で食って行くしかない訳です。第三次産業にとって一番の資産は「人間」です。いかに自社の業務に高い付加価値をつけて利益を生み出して行くかが勝負になる訳です。一時期はアジアの株式市場の中心がシンガポールに移るのではないかという事が真剣に議論されていましたね。

で、シンガポールの就職事情は日本とは正反対。少しでもいい条件の働き先を探して転職する事は当たり前。雇う方も最初から最高の条件は提示せず、報酬をめぐって丁々発止の戦いが繰り広げられるようです。

自分に自信があり、バイタリティーもバリバリにあった20代なら、文字通り実力主義の彼の地に飛び込んで行って様々なことにチャレンジする事を考えたでしょうが、残念ながら今の私にはそんな気力はありません。年功序列の「伝統的」日本企業の風習に則り、粛々と最低限の仕事をし、それに見合ったそれなりの収入を得る事がなによりも大事です(笑)。20代の頃には最も軽蔑していた生き方に図らずもハマっちゃいました(苦笑)。

自分自身の状況はさておき、日本とシンガポールの終業条件の差は興味深かったですね。日本では終身雇用が前提だった時期が長かったため、転職はキャリアダウンにつながりかねませんが、シンガポールでは、よりより終業条件を求めて転職するのが当たり前。実力が認められさえすれば文字通り転職はキャリアアップになるのです。給料に見合わない仕事しかしないと見なされれば容赦なく解雇されるという厳しさも持ち合わせていますが、自分の可能性を信じ、チャレンジする気合いのある人間にとっては非常にやりがいのあるカルチャーを持った国だと言えましょう。

まあ、私みたいに日本という国にドップリ浸かってしまった人間にはなかなかなじみ辛い土地柄であるとも言えます。20代の頃に読めばもっと違う感想を持ったかも知れませんが…。

もしシンガポールを尋ねる機会があれば、マーライオンを見て満足する事にしましょう(爆)。
by lemgmnsc-bara | 2013-09-10 20:49 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

by 黄昏ラガーマン
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31