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'13〜'14シーズン観戦記1(ジャパンvsウエールズ)

感激のノーサイドから早二ヶ月。写真の取り込みをサボったせいで、熱い気持ちもすっかり醒めちゃいましたが、やはり書き記しておかないとなんとなく尻の座りが悪いので、観戦記を書く事にします。

時は6/15。真夏を思わせる暑さと湿気でした。蒸し暑さに慣れていないヨーロッパの選手にとってはこの気候も大きな敵。逆にジャパンにとっては追い風が吹いているという状況でした。

試合前にアップしているジャパンの選手達。

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時折ポジション毎に円陣を組んで決め事の確認などもしているようでした。

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国同士の正式な代表チーム同士が戦うテストマッチですから、試合前には国家の斉唱なんてセレモニーもあります。

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キックオフ直前の円陣。スタジアム全体が「勝てよ〜」という雰囲気に包まれてました。ホームならではですね。

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さていよいよキックオフ。当日はジャパンがファーストジャージの赤、ウエールズはセカンドジャージの紺を身に纏っての試合でした。

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以前、現ジャパン監督のエディー・ジョーンズ氏の講演を聴きに行った事があります。その際、氏は世界で勝利するための4つの条件を挙げていました。まずは超のつくスーパースターの存在。2007年に優勝した南アフリカにはこの超スーパースターが5人いたそうです。残念ながら日本にはまだ「超」のつくスーパースターはいません。ただし、世界一のリーグ戦と言われる南半球の「スーパーラグビー」に所属している選手が二名出場していました。HOの堀江選手とSHの田中選手です。現状では最強の布陣を敷いたと言っても良いでしょう。

そしてその次がフィットネス。一人一人の力ではどうしても見劣りしますから、いかに相手を振り回して疲れさせるか。もちろんそのためには相手を上回るフィットネスが必要となります。相手が10km走るならこちらは12km走る。そのくらいの差をつけなきゃいけません。

第3にディフェンス。しっかり守って相手の出足を食い止め、得点させないこと。なんだかんだ言ってもラグビーは相手よりも1点でも多く獲得した方が勝ち。相手に点を与えなければ負ける事はありません。ただし、ここでも個々の強さの問題が生じてきます。1対1で止められないなら二人でも三人でもかかって行って止める。そして止めたら素早く立ち上がって次の守備に備える。これもフィットネスの裏打ちが必要ですね。

最後は確実なキッカーの存在。実力が伯仲すればするほど点数も競ったものになります。チャンスを得たら確実に決める事のできるキッカーの存在は不可欠です。ウィルキンソンという天才キッカーに全面的に依拠して優勝したイングランドの例もあります。

さて、試合は前半は膠着します。ウエールズは「代表」とは言いながら全英&アイルランド4協会の選抜メンバーで4年に一度で結成され、南半球に遠征するライオンズに主力18人を取られていたのでいわば2軍でした。しかし、そういう「駒落とし」メンツに対しても勝てなかったのが今までのジャパン。ウエールズにも「ジャパンは格下」という意識があったのでしょうか、チームとしての意図があまり窺えず、個々人の力で突破していこうという強引さが目立ちました。ここで先ほど挙げた3番目の条件が効いてきます。ジャパンの選手達は豊富な運動量でとにかく相手の攻撃を止めまくってました。一人がはじき飛ばされても二の矢、三の矢がどんどん突き刺さる。両FLと両CTBという、最もボディーコンタクトがキツイポジションが全員外国出身の選手だったところに少々引っかかりを感じないでもなかったのですが、まあこれはルールで認められている事ですし、実際にこの起用が奏功していたのも事実です。

前半は6-3とジャパンがリードして終了。キッカーを務めた五郎丸選手は2回あったPGをいずれも決めました。しかし、まだこの時点ではスタジアムのだれもがジャパンの勝利を確信していた訳ではありませんでした。前半は競っていても運動量が落ちる後半になると徐々に相手に押され始め、最終的には大差で負ける、という展開を数多く観続けてきたからです。後半はどうなるのか?前半に匹敵するだけの動きは出来るのか?期待と不安が交錯する中、後半戦開始です。

スクラムは安定していました。体力の消耗を恐れたためか、お互いにあまりシビアなコンテストはしなかったように見えました。スクラムにこだわりのある身としては少々物足りなかったんですが…。

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ラインアウトもまあ、双方安定していましたかね。何度か息が合わずにジャンパーの上を超えて行ってしまうような事もありましたが、致命傷には至らず。

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おまけのショットは次代のジャパンを背負う有望株藤田選手。高校時代からジャパン代表に呼ばれていたという逸材です。この日は出血に伴う退場で一時的に出場したのみでした。

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この日のジャパンは最後までフィットネスが衰えませんでした。攻めてはマイボールをどんどん継続して相手を振り回し、守っても二の矢、三の矢が次々と突き刺さる厳しさが最後まで続きました。

後半開始直後、最初のトライこそウエールズに奪われましたが、その後はつなぎにつなぎまくるラグビーで2トライを奪いゴールも確実に決めてどんどん差を広げて行きます。ちなみにこの日5回キックのチャンスがありましたが、五郎丸選手は全て成功させました。なるほど、キッカーがいいと、余裕が出ますね。相手の焦りも誘う事が出来るし。

ウエールズは前半同様、全く無策に強引な攻めを繰り返すばかりでした。同じ力攻めにするなら、例えばモールを組んでしつこく押すとか、何か変えるべきだったと思いますね。まあ、彼らにしてみれば、そのうちジャパンはバテるだろうから、そうなったら力づくでどんどんトライを取ってやろうと目論んでいたんでしょうけど…。どっこいジャパンは最後までスタミナが落ちませんでした。エディー氏が監督に就任してから確実に進歩した点です。

「スター」である、堀江、田中両選手も随所で光るプレーを見せてくれていました。特に堀江選手のバッキングアップと、田中選手のサイドアタックは再三見せ場を作ってくれましたね。実戦に勝る練習なしとはよくいったもんで、高いレベルで揉まれていると、自然と「規格外」のプレーが出来るようになるんでしょうね。

試合は23-8で快勝。1989年にスコットランド代表に勝って以来の快挙でした。

試合後声援に応える選手達。

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この試合の勝利はエディー氏の指導によって結実した一つの成果です。しかし、ウエールズの状況を考えると双手を挙げて喜ぶ、という訳にはいきませんね。一度痛い目を見た敵には同じ戦法は通じないでしょう。仮に同じ戦法で臨むなら、より精度の高いプレーが必要とされます。それこそ一度奪ったボールは二度と渡さないくらいのフィットネスが要求されるでしょう。

何よりワールドカップという大舞台に臨むに当たっては、出場する選手の気の入り方が違ってきます。前回のワールドカップで、それまで連勝していたトンガに負けてしまったという例もあるように、ワールドカップはそれこそ国の威信をかけた代理戦争なのです。果たしてジャパンの選手はそこまでの気合いを持つ事が出来るでしょうか?

ウエールズに勝った事は嬉しいのですが「めでたさも中ぐらいなり」ってなところでしょうかね。
by lemgmnsc-bara | 2013-08-06 21:55 | ラグビー関連

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