2013年 06月 16日
『アウトレイジ ビヨンド』鑑賞
北野武監督のバイオレンス映画。キャッチコピーの「一番悪い奴は誰だ?」が見事に内容を要約しています。
ストーリーは、『用心棒』と『仁義なき戦い』をミックスして、それに『ゴッドファザー』のエッセンスを加えたってなところでしょうか。様々な要素を絡み合わせて、ヤクザの組織が潰しあう様子を描き出します。
『用心棒』の桑畑三十郎にあたるのが刑事片岡(小日向文世)。大学の先輩である大友(ビートたけし)を始め、ヤクザ同士の憎悪や思惑を利用したさまざまな手を打ち、関東の山王会、関西の花菱会を両方とも弱体化させようとしますが、桑畑との決定的な違いは、片岡はあくまでも出世のためという利己主義で動くという事ですね。キャッチコピーの答えは彼だと言ってもよいでしょう。最後は大友によって射殺されます。
大友はかつて自分を陥れた連中を徹底的に殺しまくりますが、「ヤクザにはヤクザなりの筋ってもんがある」と言い切って決して私怨だけで動いているのではないという描き方をされています。「義理と人情をはかりにかけりゃ〜♪」じゃありませんが、昔の武士に通じるような「殉教精神」と残忍さを持ち合わせた魅力的な人物設定です。
前作同様、「馬鹿野郎!!」という激しい罵り言葉が飛び交い、大量の血も流される作品で、後味も決して良くはありませんでしたが、バイオレンスの果てに待ち受ける空虚さを巧みに描いていた作品だったと思います。
by lemgmnsc-bara
| 2013-06-16 07:17
| エンターテインメント