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『江戸人と歌舞伎―なぜ人々は夢中になったのか』を読んだ

江戸人と歌舞伎―なぜ人々は夢中になったのか (プレイブックス・インテリジェンス)

青春出版社

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ここのところ、中村勘三郎、市川団十郎と歌舞伎界の大看板が相次いで亡くなっています。歌舞伎界のみならず日本の文化にとっての大きな損失ですね。

いまでこそ、歌舞伎の影響は限定的ですが、江戸時代は歌舞伎はもっと人々の生活に密着していました。歌舞伎は単なる演劇という枠を超え、人々に流行をおこさせたり、新しい生活様式を提示する最も巨大、強力なメディアであったのです。

時の幕府によって定められた芝居街はさながら巨大テーマパーク。芝居見物を中心に、飲食を楽しんだり、芝居にちなんだグッズを買い求めたり…。現在TDLに行った人々がやっていることとなんら変わりはありません。

役者が舞台上で着ていた着物の柄はファッションの最先端。仕草や台詞にも当時の粋や「はり」というものがたっぷりと盛り込まれていました。老いも若きも富める者も貧しい者もそれぞれ自分の身の丈にあった方法で歌舞伎を自分の生活の中に取り入れていたんですね。確かに歌舞伎役者の所作はそれこそつま先から頭のてっぺんまで「カッコよさ」にあふれています。首の回し方、動作の止め方ひとつとっても、素人がやると様になりませんが、本物の役者がやるとぴたりと決まる。踊りなんかはその最たるモノ。先日観た母親の「かっぽれ」なんかは「名取」とされている人でも、止まるべき時によろけたりしてなんとなく見苦しかったのですが、歌舞伎の舞台で観る役者の踊りは文字通りビシっと決まっています。刺激の少ない時代、役者が見得を切った瞬間に大きな感動が生まれたであろうことは容易に想像がつきます。

読み終えて、すぐに市川猿之助(市川亀治郎改め)の公演を申し込んじゃいました。江戸の「粋」を味わえることを楽しみにしたいと思います。
by lemgmnsc-bara | 2013-03-04 06:36 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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