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『間抜けの構造』を読んだ

間抜けの構造 (新潮新書)

ビートたけし / 新潮社

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ビートたけしの本だっていうから、また「世紀末毒談」の寄せ集めかと思って、また新潮社が阿漕な商売やってやがんなと舌打ちしつつ買って読んでみたら、今回は連載の寄せ集めじゃなかった。

文体こそ、いつもの「馬鹿野郎」口調だったけど、「間抜け」ってのはどういう事なのかをきちんと定義した上で、そもそも「間」ってのは何なのかを説明してくれているから弱っちゃうよなぁ。こっちはいつも通りに気楽に読み飛ばそうとしたら、読み飛ばせないような内容なんだから。バカばっかり言ってる奴が、たまに真面目なこと言うとコロッと転んじゃうねーちゃんがいるけど、その気持ちがわかっちゃうよ、まったく。

おいらが昔やってた剣道の世界には「間の見切り」って言葉がある。相手の打撃をかわすのに必要なギリギリの距離を保って、相手の技の裏を取って自分の技を決めるのを「後の先」なんて言ったりするんだけど、この「間の見切り」ってのは教えて会得できるもんじゃなく、その人が先天的に持っている「勘」みたいなものに左右されるってのが昔からの言い伝え。これは笑いもそうだし、映画とか演劇、音楽なんかでも言えることなんじゃないかな。同じことを言ったりやったりしてもウケる時とウケない時があるけど、よくよくその原因を考えてみると、どういうタイミングで言ったりやったりするのかってことに尽きると思う。演劇や映画なんかでは、沈黙しているシーンがとてつもなく重要な意味を持ったりするね。

この「間」を意図的にではなく、無意識のうちに外しちゃっているのが「間抜け」って状態。昔の哲学者が「笑い」というものについて「ある権威を持ったものが、その権威に合わないズレを生じた時に生じる」というようなニュアンスの定義をしてたけど、そういう意味でいうと「間抜け」ってのは笑うしかない状態だね。例えばもの凄いイケメンなんだけど社会の窓が開いているとか、格好つけたエライ人が転ぶとか、きれいなねーちゃんのローライズのズボンの腰のところでパンツが丸見えになっているとか…。どれも「間抜け」だよね。

最近で言えば、やっぱり、解散総選挙だろうね。どう考えたってこの時期に解散したら民主党に勝ち目がないもの。そういう意味では野田さんも「間抜け」ってことになるんだろうね。それにも増して「間抜け」なのは鳩山さんかな。「そんなことは総理の時にやっておけ!!」って言いたくなるような余計なことばっかりして、しかもそれがことごとく裏目に出ている。おいらも精々「間抜け」って言われない様に気をつけたいなって思う。でも仕事中に居眠りしてるようじゃ無理だな(苦笑)
by lemgmnsc-bara | 2012-11-20 20:25 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

by 黄昏ラガーマン
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