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『ふしぎなキリスト教 』を読んだ

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

橋爪 大三郎 / 講談社

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新書の中でNo.1の評価を得たということで、長らく書店の店頭を占拠していたのが標題の書。私はあまり興味を惹かれなかったのですが、珍しく当家の最高権力者様が読みたいとおっしゃったので買ってきました。で、最終的には私も興味を惹かれて読んでみました。

どこかで聞いた話ですが、日本の人口に占めるキリスト教徒の割合ってのは1%程度なんだそうです。世界的には一番メジャーな宗教であっても、日本では超マイナー。少し前まではキリスト教徒というだけで「耶蘇教の信者との結婚なんか許さない」といって縁談を断られることも少なくなかったそうです。私は一時期ゴスペルをやっていた関係で、教会に出入りしたことはありましたが、信仰の道に入ろうとは思いませんでした。大きな力を持つ存在だとは知っていながら、どこか自分とは遠い存在っていうのが一般の日本人のキリスト教というものに抱くイメージではないでしょうか?

この本は、キリスト教に対して「一般常識」とされてきたことを覆す多くの事象が述べられていました。

一番の驚きは、神は慈愛に満ちた存在ではなく、人間を創造できるほど大いなる力を持った存在であり、同時に人類を滅ぼすこともできる存在でもあり、信仰の奥底には「畏怖」があるということです。日本の八百万の神様も怒らせれば祟りをもたらしますが、キリスト教の神はいざとなったら全世界をすべて滅ぼし、なかったことにできる。故に人間は神に従わなければならず、神の伝えた言葉を聖書としてまとめ、その内容に忠実に行動しようとする。はじめに恐怖ありき、なんですね。

その他、わかったようでわかっていなかった三位一体説とか、ユダヤ教とキリスト教とイスラム教の違いだとか、矛盾に満ちた寓話の数々だとか、興味深い内容満載でした。

先ほど、日本人には縁遠いと思われているキリスト教と書きましたが、実は現在の資本主義の成立にはキリスト教の精神が深く関与しており、資本主義の規範に則って行動している限り、日本人もキリスト教の影響を間接的にうけているのだということにも気づかされました。どのような部分が影響しているかは本文をお読みください、と逃げておきます。

直接信仰していなくても、「普通」に考えて行動することがすでにキリスト教の影響を受けているのだ、と考えるとやはり、神とは偉大な存在だというしかありません。だからといって本格的な信者になろうなんて考えは毛頭ありませんが(笑)。
by lemgmnsc-bara | 2012-10-02 22:06 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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