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『FCバルセロナ』を読んだ

FCバルセロナ (ちくま新書)

西部 謙司 / 筑摩書房

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ここ数年、世界最強と言われるクラブチームがバルサであることは衆目の一致するところですね。銀河系軍団とまでいわれ、カネに明かしてスター選手をかき集めるだけ集めたレアル・マドリードを大差で降すようなシーンを多々見せつけてくれています。とはいっても私が観ているのはスポーツニュースだけですけどね(笑)。

この本は、FCバルセロナの強さの秘密を丁寧に説明してくれています。

バルサの強さの原点はその戦略にあるそうです。私はサッカーにはまるで詳しくないので、なにがどう優れた戦略なのかについては本文を読んでいただくしかないのですが、とにもかくにも、先進的な戦略を立て、それを遂行できるメンバーを集めてその戦略を徹底する。その事により、相手のチームはまずその戦略に対する対策を練らなければならない。つまり常に受け身でいなければならないという事です。レアル・マドリードが如何にいい選手を集めても、相手の戦略に従わされ「動かされて」いたのでは勝利は覚つきませんね。良きにつけ悪しきにつけ、レアルは個々人の才能を最大限に活かした時にその強さを発揮します。バルサの強さは世界を代表するビッグネームを敵に回しても、彼らに思い通りのプレーをさせず、常に自分たちの戦略をやり切るところ。その上でメッシのような天才が時にすばらしいプレーを見せる。勝つべくして勝っているという事ですね。

読んでいて、ラグビーに当てはめて考えるとバルサは早稲田、レアルは明治だなって気がしました。戦略をしっかり決めた上でその戦略を遂行し切れるプレーヤーを選んで、キメごとをきちっとやる早稲田と、恵まれた素質を活かして個々人の強さで局面局面の戦いで相手を圧倒しようとする明治。現在のところは戦略を重視し、キメごとを確実に遂行する早稲田=バルサが隆盛を誇っていますが、個々の才能が遺憾なく発揮された時の明治=レアルの破壊力はすざまじいモノがあります。

どちらが上とか下とかいう問題ではなく、あくまでプレースタイルの違いとそこに集まってくるプレーヤーの質が問題です。また、戦略が固定化し過ぎると、当然研究され、それにた対抗する策も生まれてきます。実際にバルサを破ったアーセナルは画期的な対抗策を講じたそうです。

いずれにせよバルサの天下はまだしばらく続きそうな気がしますね。メッシは10年に一人の天才だそうで、彼の代役は簡単に見つからないそうですが、バルサの下部組織はバルサの戦法にあった選手を供給するという育成方針に特化して多くの選手を供給しているそうですから。
by lemgmnsc-bara | 2012-06-12 23:21 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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