2012年 05月 08日
『あきらめない限り、夢は続く: 難病の投手・柴田章吾、プロ野球へ』を読んだ
昨年秋のドラフトで明治大学から巨人に育成選手としてドラフト指名された左腕投手柴田章吾の幼少期から現在に至るまでの姿を克明に追ったルポルタージュ。
柴田投手は小学生時代からその素質を高く評価された野球少年でした。その少年をある日、悪夢が襲います。原因も特定されておらず、治療法も確立されていないベーチェット病に罹患してしまうのです。この病気はごく簡単に言ってしまえば、消化器に無数の潰瘍が出来、食物がろくに摂れない上、激痛に見舞われるというものです。
甲子園出場を夢見て、そしてそのために進学先として選んだ愛工大名電への進学も絶望的になってしまいました。一時期は自暴自棄に陥った柴田選手ですが、なんとかクスリの力を借りて容態を安定させ、希望の愛工大名電に進学します。そして本人の意思に関係なく襲ってくる病魔と闘いながら、ついに甲子園出場を果たすのです。
「皆に支えられているから今の自分がある。全ての人に感謝。」私が同じ境遇にいたら決して吐くことの出来ない言葉です。多分私ならそのまま病気にずるずると負けてしまい、立ち上がる気力すら湧かなかったことでしょう。でも柴田選手は自らの希望を叶えるために懸命に努力し、病気をねじ伏せるのではなく、病気と巧くつきあう方法を模索し、そしてその方法を会得するのです。
そして、甲子園のその先にあったプロ野球の道に進みました。ガンを抱えながら野球をやっているようなものですね。彼の強靭な精神力には脱帽するしかありません。
いつの日か、彼がカクテル光線を浴びながらマウンドに立つ姿を見てみたいものだと思いながら本を閉じました。「あきらめない限り、夢は続く」重い言葉ですね。
by lemgmnsc-bara
| 2012-05-08 23:47
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