人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『みんな邪魔』を読んだ

みんな邪魔 (幻冬舎文庫)

真梨 幸子 / 幻冬舎

スコア:




最近すっかりハマってしまっている真梨幸子氏の作。女性特有のドロドロした愛憎劇が繰り広げられる、ややサイコがかったミステリー。血がダラダラと流れるようなグロさは比較的抑えめでしたが、その分心理描写は細かかったですね。

舞台となるのは、少女漫画『青い瞳のジャンヌ』のファンクラブ。漫画そのものは30年近く前の作品ですが、最終回が不可解な終わり方をしたため、ファンの間では未完の作品として受け止められているという設定。

『みんな邪魔』という作品は当初『更年期少女』という名前で発表されたそうです。なるほど、主要な登場人物たちは一人を除いて皆更年期を迎えたか、迎えつつある年齢です。カラダはすでに「女」としての役割を終えつつあるのに、精神状態は「少女」のまま、『青い瞳のジャンヌ』という「夢物語」の世界に浸り込み、実生活よりもそちらの世界に重きを置く。ま、一言で言えばオタクの女性たちなのですが。この一人一人がそれぞれクセモノなんです。

例えばシルビアというハンドルネームを持つ人物は、メンバーに入って日の浅いエミリーという女性に言葉巧みに近づいて、様々な名目でカネをむしり取ります。どこやらの女性タレントに「寄生」していた女性占い師みたいですね。というよりは、カルト教団に一般的に見られる手口と言うべきでしょうか。

彼女を始めとして、ドロドロとした人間関係が描かれ、また殺人事件も多々起こります。結末は当然書けませんが、真犯人が意外な人物であることと、動機がまた意外なことで二段落ちになるという仕掛けが施してあります。しかもそこには更年期を迎えた女性ならではの心理が深く関係しているという描き方もなされています。最後の最後まで謎を引っ張るストーリー展開はなかなか見事でした。
by lemgmnsc-bara | 2012-04-04 20:14 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

by 黄昏ラガーマン
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31