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『黒澤明という時代』を読んだ

黒澤明という時代 (文春文庫)

小林 信彦 / 文藝春秋

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評論家小林信彦氏が、自身の少年時代から、近年に至るまで、全ての黒澤作品をリアルタイムで観て解説しているのが標題の一冊。

黒澤作品というのは、古典の名作を読む時と同様、どこか襟を正して背筋を伸ばして観ないといけないような感覚に襲われます。実際に観てみると、いつの間にか緊張感は消え、作品の世界に引きずり込まれてしまっているのに気づくのですが…。観終わってもただ「楽しかった」とか「面白かった」などという浅薄な感想を述べるのが恥ずかしいくらいの重厚さがありますね。その重厚さを表現するには、私はまだまだ修行が足りないと言わざるを得ません。最も私が今までに観た作品は『七人の侍』、『椿三十郎』、『用心棒』、『隠し砦の三悪人』、『乱』、『影武者』、『まあだだよ』だけですから黒澤作品自体をもっと観なきゃいけないし、当然、古今東西の「名作」にももっと触れなきゃいけないんですけどね。

小林氏の著述通りに、年代を追って「姿三四郎」から観るのがよいのか、小林氏が黒澤作品のベストと推す『生きる』から観ていくべきなのか…。迷うところですが、まずは単純に『姿三四郎』から観てみたいと感じました。今の精神状態的には、重々しいヒューマニズムよりは冒険活劇に近い物を観た方がよさそうだからという、単純な理由です。こういうときこそ、生の意味を本質的に問うような作品を観た方が良いのかもしれませんが…。

とにかく作品を観てみなければ話にならないな、と感じさせられた一冊でした。
by lemgmnsc-bara | 2012-03-27 11:28 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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