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『世界エロス大全―「悦楽」と「偏愛」と「禁断」の園』を読んだ

世界エロス大全―「悦楽」と「偏愛」と「禁断」の園 (文春文庫)

桐生 操 / 文藝春秋

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出ると買い作家の一人桐生操氏の最も得意とする分野の著作。その性的嗜好故に歴史に名を残すことになった人物や、他の分野で著しい業績をあげ、歴史に名を残しながら、特異な性癖を持っていた人々を紹介しています。

前者の例としてはなんといっても、作家マゾッホ。マゾヒズムの語源ともなった作家です。彼は幼少時に美しい叔母の情事を偶然覗き見することになってしまい、しかもそのことがバレて、叔母から鞭で尻を叩かれるという折檻を受けますが、ここでいわゆるマゾヒズムに目覚めます。叔母に鞭打たれることに強烈な快感を感じてしまったのです。幸か不幸か私には不倫に走るような不道徳な叔母はおりませんでしたので、鞭で打たれるなどという経験はありません。従ってそのことがどう快楽に結びつくのかは理解の範疇を越えています。マゾッホの性的嗜好はだんだんエスカレートしていき、妻となる女性と「奴隷契約書」なるものを交わした上で、妻が他の男と不倫することに対して嫉妬することに無情の快楽を感じることになるのです。いやはや。全く理解できません。

後者の例としては『不思議の国のアリス』の作者、ルイス・キャロル。彼の名を文学史に残すことになった同作は実は当時13歳のアリス・リデルという少女のためだけに書かれた物語だったのです。彼にとっては少女は「無垢でありながら、同時に性的」な対象だったのです。
ロリコンねえ…。たまたま昨日、チームの試合があり、その際に美少女と言ってよい5歳の女の子が遊びにきていて、少しからかって遊んでもらったんですが、「親の視線」として可愛いとは感じても性的な興奮をかき立てる要素はまったくありませんでした。これもやっぱり理解の範疇を越えています。余談ながら熟女趣味ってのも理解できませんね。

その他のトピックスで興味深かったのが、カストラートの物語。当時聖歌隊には女性は入れませんでした。しかし聖歌には高音部分が多々存在します。そこで必要な高音部分をカバーするためにボーイソプラノの少年たちを起用していたのですが、これも声変わりが訪れてしまえばアウト。で、そのボーイソプラノの音域を維持するために、わざと去勢したのがカストラートという存在だったのです。カストラートは地位も収入も約束された存在でしたから、「就職希望者」はたくさんいたそうですが、最終的にモノになるのは10人に一人という狭き門でもありました。また、去勢したからといって、必ずしも女性に対する興味をなくしてしまう男ばかりではなかったそうです。中国の宦官とは違い、局部をすべて除去してしまうわけではなく、睾丸を切り取るだけだったそうですから、カラダは女性化しても、女性との性交は可能だったそうです。

桐生氏の著作としてはど真ん中の直球作品でした。出ると買いは継続です。
by lemgmnsc-bara | 2011-09-19 07:51 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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