2011年 09月 09日
『希望』を読んだ
瀬名秀明氏の短編集。ご本人がこの一冊を処女短編集と認めているそうです。
同氏でまず思い浮かぶのは大ベストセラー『パラサイト・イブ』ですね。薬学部出身という異色の経歴を活かし、理系の専門的知識を駆使した同作は、世間に大きな衝撃を与えましたし、私も大きな衝撃を受けたSFホラーでした。「魔性の女」と言われた葉月里緒菜主演で映画化もされましたね。
『パラサイト・イブ』はテクニカルターム満載でしたが、ド文系の私が読んでも、別に支障を感じるほどではありませんでした。しかし、この作品集は非常に読みにくかった。大学レベルとまではいかずとも、恐らく高校レベルで「理系」であれば理解は可能なのでしょうが、もう20年以上「数学」からも「理科」からも遠ざかった身にとっては、理解の範疇を超えていました。従って、意味の分からないところで、文章がブツギレになってしまい、味わいもヘッタクレも感じられないという状況でした。「美しい数式」などと言われても高校以来数式に嫌悪感すら抱いている身にとっては感覚の共有化など思いもつかないことです。従って、作者の描き出す世界はうまく頭の中で像を結びませんでした。
結局、文字面を追いかけて、ストーリーをなぞっただけ。非常に退屈な読書になってしまいました。まあ、短編集というからには様々に毛色の変わった作品を収録しなければならないだろうし、作者としても『パラサイト・イブ』のイメージばかりを纏わり付かせておく訳にはいかない、という事情もあったのでしょう。チャレンジする意欲は必要ですし、努力は買うのですが、残念ながら少なくとも私にはあいませんでした。
まあ、残念ながら出ると買い作家の仲間に入っていただくわけにはいかない作風です。今後は、まずぱらぱらめくってみて、興味が湧くか湧かないかを見極めてから買うか否かを決めたいと思います。
by lemgmnsc-bara
| 2011-09-09 19:35
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