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『水の如くに―柔術の祖・関口柔心 不敗の生涯』を読んだ

水の如くに―柔術の祖・関口柔心 不敗の生涯 (光文社時代小説文庫)

近衛 龍春 / 光文社

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題名の通り、柔術の祖である関口柔心の生涯を描いた作品。

関口柔心の名に初めて触れたのは山田風太郎氏の大作『魔界転生』でした。山田氏は、転生し魔人となった剣豪荒木又右衛門と無手で互角の戦いを演じさせたのですが、当時の私にはピンと来ませんでした。まだ剣道もやっていなかったんで、武器を持っている人間に素手で立ち向かう度胸が理解できませんでしたし、投げ飛ばされた経験もなかったんで、地面に叩き付けられた時の衝撃も実感できていませんでした。後に剣道も柔道も両方とも経験してみて、ようやく柔心の凄みっていうのがわかった気がします。

現在、格闘技界は総合の人気が高く、その中でも一大勢力となっているのが、グレイシー柔術ですね。その源となったのが関口柔心です。彼が苛烈な修行と実戦を経て体術を極め、自らの技を柔術と名付け、生涯を閉じるまでの物語。

彼の哲学は、自分が傷つかず、相手もなるべく傷つけないよう、制圧すること。なるほど、グレイシー柔術の戦士は様々な格闘技の戦士と戦ってもほとんど傷つかず、簡単に相手を制圧してしまう、という印象があります。もちろんそこに至るまでは多くの血や汗をながして修練したからなんでしょうけどね。この哲学は彼が主命により自分の師匠を捕らえ、あまつさえ己が手で殺害してしまうという苦い経験から確立されたモノです。

その後江戸に出た柔心は藩の勧める柳生流ではなく、三浦某という浪人に師事し、体術の基礎を学びます。さらに居合いの達人林崎甚助からは居合いを学ぶとともに、林崎には柔心が柔術を教えるという奇妙な師弟関係を結びます。

さらに長崎に遊学し、そこでは明人の家に住み込み、働きながらカンフーの達人と毎日のように稽古をします。この修行の日々で剣などの武器を持った相手や打撃を主とする相手との戦い方を会得していきます。

やがて様々な紆余曲折を経て、御三家の一家紀州藩に召し抱えられることになり、そこで関口流の柔術を正式に名乗ることとなるのです。

私が一対一の格闘技をやらなくなってから20年以上経ちます。従って読んでいて今ひとつ一つ一つのアクションが具体的にはイメージできませんでした。しかしながら、まず柔道の基本は受け身だとして、道場の畳の上を転がった記憶は蘇りましたね。昔は畳の上ではなく、土の上でやったそうですから、きちんと習得しないとさぞかし痛かったことでしょうね。

特別に深刻になるでもなく、かつ、軽すぎない文体で読んでいて迫力が伝わって来る作品でした。




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Commented by himaru73 at 2011-08-22 21:10
私は柔道を中学の部活で一週間、剣道を高校の週一の授業で1年間やりました…やったうちに入らないですね(笑)
ただ、転がることによって地面と衝突するときの衝撃を逃がすという柔道の受け身は理にかなったものと実感したせいか、ほんのわずかの体験ながら40年近く経った今でも体が憶えているような気がしてます。
学業を終えて以来、柔道をする機会も暴力沙汰もないので体感する機会はありませんが^^;
Commented by lemgmnsc-bara at 2011-08-23 05:50
ひまる。さんおはようございます。毎度コメントありがとうございます。
まずは防御、という考え方と訓練は理にかなっていると思います。日常生活で他人と争う場面はそうそうありません(とは私は言い切れませんが…苦笑)が例えば、自転車に乗っていて転んだ、とかいう場面で受け身を知っているのといないのとでは怪我の度合いが違うでしょうね。
私ももう竹刀は7,8年握ってませんが、まだ素振りの仕方くらいは体が覚えているとは思います。
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