『ジャパンのために―日本ラグビー9人の肖像』を読んだ

ジャパンのために―日本ラグビー9人の肖像

向 風見也 / 論創社

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日本で唯一の20代ラグビーライターを自認している向風見也氏の最新刊。ワールドカップ直前のジャパン戦士9人を取り上げたルポルタージュ集。(何人かスコッドから漏れちゃった人もいますが、あえてジャパンのメンバーということにしておきます)

やっぱり一番気になったのは同じタイトヘッドプロップの畠山健介選手の章。早稲田では一年生から試合に出場し、フロント陣に猛者がそろうサントリーサンゴリアスにあって、一年目から堂々のレギュラーを張っている選手。スクラムの強さのみならず、密集近辺での巧妙な働きも印象に残る選手です。私が同じタイトヘッドプロップとして目標にしている選手です(かなり無理がありますけどね^^)。

タイトヘッドプロップというのはどちらかといえばスクラムの職人として黙々とプレーするイメージをもたれがちですが、彼はスクラム以外のプレー同様、しゃべりも達者だそうです。サンゴリアスの監督エディー・ジョーンズ氏が講演で日本選手の特長の一つとしてあげた「インテリジェンスのある選手」ということになるのでしょうか?情報を分析し発信できる選手のようです。くだらないこともよくしゃべっているそうですが^^。例えば密集サイド。相手のディフェンスが自分より動きが鈍いとみるや、ディフェンスの選手が追いつかないコースを走って前進する。カラダのでかい選手にありがちな力任せのプレーは極力避けるし、自分が分析した情報は素早くチームのメンバーにも共有化するから、他のプレーヤーも同じように前進する。スクラムが強いだけではなく、試合の流れを作ることの出来る稀有な存在ですね。ますますあこがれちゃいます。

著者の向風見也氏は、若いだけあって、表現が新鮮でした。ラグビーのルポとしても個性的な文章としても完成度の高い一冊だったように思います。

最後に必ず「何のために戦うのか?」と選手に問いかける手際も鮮やか。答えは九者九様ですが、自分自身は何のためにラグビーをしているんだろうかと読み終わった後に考えちゃいました。にわかには答えは出しがたいんですが、無理矢理理由付けしてみようと思います。仲間を信じ、仲間に支えられて一つの目的に向かう。また目的を果たすために仲間をサポートする。自分自身を鍛えることで自分が強くなるとともに、仲間をサポートする力も強力になっていく…。こういうところが楽しいからでしょうね。決して個人の力だけでは成し遂げられないことも、15人が力を合わせれば成し遂げられる。この充実感は何物にも替え難い。自分自身のラグビーに対する思いを改めて考えさせてくれた本でもありました。
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by lemgmnsc-bara | 2011-07-29 20:14 | 読んだ本 | Comments(0)