2011年 06月 05日
『殺人遊戯』鑑賞
そういえば松田優作のバイオレンス作品ってまともに観たことがなかったな、と思い立って借りてきたのが標題の作品。
この作品で彼が扮するのは凄腕の殺し屋鳴海。冒頭でいきなり暴力団頭山会の組長を射殺して海外に逃亡。その時に命を救った組長の愛人と娘が帰国後の鳴海と様々な形で絡みます。
鳴海は寿会と花井組という二つの暴力団の間で、彼を利用しようとする二つの組の思惑に揺り動かされるのですが、実は二つの組の間で巧く立ち回り、両方の組からカネを出させるしたたかさをみせます。
決してクリーンな主人公ではありませんし、結局は彼がほとんどすべての人間を殺戮します。高倉健の時代の任侠映画とは異なり、鳴海には義理も人情もありません。ただ、己の思うがままに動き、銃を撃ちまくって、二つの組織を壊滅に追い込みます。
しかし、その報酬として残ったのカネだけ。女の愛情を得たわけでも、暴力団の利権を受け継いで甘い汁を吸うわけでも、正義を体現するわけでもありません。得たカネですら、唯一の舎弟文太にそっくり渡してしまいます。
よく言えばフランス映画のニヒリズムに通じる作品でしたが、悪く言えばよく意味の解らない作品でした。松田優作の存在感だけは確かに強烈ではありましたがね。ある意味、松田優作が観られればいいっていう、アイドル映画でしたね。
by lemgmnsc-bara
| 2011-06-05 08:58
| エンターテインメント