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『パ・リーグがプロ野球を変える 6球団に学ぶ経営戦略』を読んだ

パ・リーグがプロ野球を変える 6球団に学ぶ経営戦略 (朝日新書)

大坪正則 / 朝日新聞出版

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いよいよプロ野球が開幕しましたね。以前ほど興味がなくなったとはいえ、試合の結果やら順位やら、気になる選手の活躍ぶりなんかには、まだまだ少なからず関心を持っております。

しかしながら、ここ数年、プロ野球のTV中継は少なくなりましたねぇ。つい5~6年前のこの時期なら、まずもってゴールデンタイムは巨人戦の中継が入っていたものですが…。放映権料に比して視聴率が取れないのがその理由ですが、では一体何故巨人戦の視聴率が凋落しちゃったんでしょうか?

一つの理由はMLBが気軽に観られるようになったこと。WBCで日本は2回連続して世界一の栄冠に輝きましたが、実際にはまだアメリカの方がレベルは高いでしょう。日本でなら超一流と呼ばれている選手が、MLBに行けば並の選手でしかないんですから。ファン全体の目が肥えたってことですね。

もう一つの大きな理由と考えられるのが、パ・リーグの隆盛。メディアへの露出量が圧倒的に大きく全国的な人気を誇っていた巨人の人気が凋落し、地域密着を打ち出した、北海道日本ハムや東北楽天、千葉ロッテなどの球団の人気が高まり、地元の声援に後押しされるように実力も上がってきました。

交流戦は実施以降すべてパリーグが制覇していますし、日本シリーズもパリーグのチームが勝つことが多いように感じます。昨年なんか、シーズン3位の千葉ロッテがCSで上位2チームを撃破し、その勢いに乗ってセリーグ覇者の中日まで下してしまいました。140試合も戦うシーズンの価値をどう観るかという問題について改めて考えざるを得ないシーズンでした。

ちょっと話題がそれちゃいましたんで、本の内容に戻しましょう。

著者は、プロ野球を単体のビジネスとして考え、親会社からの援助なしに球団だけで利益を上げるのにはどのようにしたらよいのかを詳細に分析しています。TV中継の減少により、企業の広告塔としての効果が薄れてきた今日、極端なハナシ、「親企業」がなくなっても球団だけで商売が成り立つビジネスモデルを考えその確立のために尽力していく必要があります。

球団の収益源は試合のチケット収入、物品販売、そしてメディアへの放映権料というのが3本柱となるそうです。チケット収入でいえば、まだパリーグが本拠地としている球場では収容人数が足りないそうです。球場を大きくするにはどうしたらよいか?そしてその球場に常に人があふれるようにするにはどうしたらよいか?著者はさまざまな角度から経営状況を分析しています。

実際にはいろいろなしがらみやら、「盟主からの圧力」などもあって必ずしもすべてが実行可能な案ではないとは思いますが、少なくとも、赤字分は親会社に泣きつけばよいという考えを捨て、アミューズメントビジネスとしてきちんと成り立つ体質に改善すべきという著者の主張には素直に納得できます。収益の向上に成功している球団は「普通の会社」を運営していく場合に当然とされていることをきちんと実施しただけ、という著者の指摘もごもっとも。親方日の丸と同じような甘え体質のままではいつまで経っても自立は実現しません。

私は今年、パリーグでは楽天を応援しようと思います。縁のある宮城県に本拠地を置く球団でもありますし、今は亡き近鉄バファローズの血を半分受け継いでいる球団でもあります。何より東北復興のシンボルともなるでしょうから。
by lemgmnsc-bara | 2011-04-24 13:48 | 読んだ本

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