『A LONG VACATION 30th Edition』発売記念私的大滝詠一トップ20(その2)

さて、いよいよ大滝師匠本人歌唱の楽曲トップ10いってみたいと思います。

10位『青空のように』
『NIAGARA CALENDAR』の6月の曲。梅雨のシーズンに青空っていうタイトルを持ってくるところがいかにも師匠っぽい。梅雨の合間のホンのちょっとした晴れ間をイメージさせるさわやかな一曲です。一時期グリコのビスコのCMソングに使われていたという記憶がありますが、定かではありません。

9位『白い港』
亡き父と車に乗っている時に、偶然この曲がかかったんですが、出だしの部分だけ聴いて「この曲はスケーターズワルツか?」と聞かれたことを思い出します。確かに最初の部分そっくりなメロディーラインなんですよね。悪く言っちゃえばパクリなんですが、師匠は古今東西の名曲のフレーズを集めてきて随所にちりばめ「さて、わかるかな?」とリスナーに謎を提示するのが非常に好きな方なんですよ。ある曲を聴いたプロのミュージシャンが「この曲は〇〇と××と△△の3曲からフレーズ持ってきてるでしょう?」と訊ねたら、「3曲しかわからなかったの?実は5曲使ったんだけど」という答えを返したそうです。こういう「コラージュ」が気に入らず、師匠のことを嫌う人もいますが、いいんです、聴いている時間が快適であれば。原曲を聴くよりよっぽど気分がいい曲だって多々あります。分野は違いますが、クエンティン・タランティーノ監督だって「このシーンはあの映画のあのシーンのように演じて欲しい」と演出するそうです。このフレーズはこの曲にこういう風に使ったほうがより「快適」だ、っていう考え方もありだと思います。

8位『Velvet Motel』
ギターソロから入って、キーボードがかぶさるイントロが非常に印象的な曲。刹那的に生きる男女の別れを描いた作品で、夏の夜のイメージを強く感じます。途中で一語ずつ女性歌手と掛け合いをするパートがあるのですが、そのヴォーカルはラジさんです。蒸し暑い夏の夜に聴くと変にけだるく甘ったるい気持ちにさせてくれる曲でした。

7位『FUN×4』
タイトルからしてビーチボーイズの『FUN FUN FUN』をもじっている、師匠お得意のオマージュ曲。曲の最後の部分で『FUN FUN FUN』のフレーズをそのまま歌っている部分もある、遊び心にあふれた一品。この歌の「散歩しない?」っていう問いかけフレーズも太田裕美さんが歌っています。師匠にしては珍しい恋愛成就の歌でもあります。なお『A LONG VACATION』は最初この曲で終わりにするはずだったとのことで、曲の最後には「アンコール、アンコール」などの掛け声が入るという「演出」が施されています。この曲までは夏のテイスト満載の曲ばかりだったのですが、最後に真冬を感じさせる『さらばシベリア鉄道』が収録されて発売されました。

6位『恋するカレン』
ベストに推すナイアガラーが多数いるであろうと考えられるのがこの曲。ダンスパーティーの喧騒の中、カレンに振られて一人さびしい想いをかみ締める主人公の青年(多分年齢設定は大学生くらい)の切ない心情。思いっきり共感を覚えた曲ですねぇ。叶うことのなかった恋愛の古傷をつっついてくれちゃう名曲です。ああ、切ない。

5位『幸せな結末』
キムタク主演の『ラブジェネレーション』というドラマの主題歌。ナイアガラテイストが満載の一曲。「期待は失望の母」を信条とする師匠が珍しくファンの期待に応えてシングルCDを発売しました。当時本当に夢かと思いましたね。『Complete Each Time』を発売して以来20年近く、まさしく音信不通の状態が続いてましたから…。最初っから最後までこれぞ大滝師匠っていうメロディーラインの連続。以前私はナイアガラーのMLに参加していたことがありましたが、その時メンバーの一人が「自分の結婚式でこの歌を歌おうとしたのだが、”今夜君は僕のもの”というフレーズを義父母の前で歌うのはさすがにはばかられ」て結局歌わなかったというエピソードを披露していました。さもありなん。曲としてはそういう場で歌っても全然違和感はないんですが、確かにちょっとマズい歌詞ではありますね。

4位『木の葉のスケッチ』
夏のイメージが強い大滝師匠ですが、秋の木枯らしの肌寒さをしみじみと感じさせてくれるのがこの曲。自ら望んで別れたわけではないと推測される元カノと、夕暮れの街角で偶然再会した主人公。なんとかあの日を取り戻したいと、食事に誘うのですが、元カノはもう別の人と別の人生を歩み始めていました。「枝を離れた二つの葉は風に散るしかない」という最後の歌詞が見事にハマっちゃっている切ない歌。元カノと呼べるような存在なんかいなかったくせに、切なさだけ感じさせてもらった曲でしたね。

3位『ペパーミントブルー』
夏というよりは、初夏の浜辺をイメージさせる「暖かい」曲。きらきらと光る波を見ながら彼女と二人ペパーミントブルーのソーダを飲む…。憧れの世界でした。こういう恋愛がしたいっていう理想像を見事に描き出してくれていた一曲です。「空も海も遠のいてゆくよ 君のはにかんだ笑顔だけをのこして」という最後の歌詞なんか涙モノです。

2位『オリーブの午后』
見事に夏のリゾート気分を満喫させてくれる曲です。二人だけでどこかの小さな島の浜辺で思いっきりくつろぐ。おカネとか仕事とかのことを一切忘れてこういう気分を味わってみたいものです。残念ながら、この歌に出てくる恋人同士二人に比べれば当家の二人はずいぶん見劣りしちゃいますが^^。ま、今年は勤続20周年のご褒美がもらえるので、この歌で描かれる世界にほんのちょっとだけ近づいてみたいな、とは思っています。

1位『カナリア諸島にて』
堂々のベスト1。日本人にはイメージしにくい場所だと思いますが、カナリア諸島はスペイン領のリゾート地です。イントロがなり始めた瞬間、気分だけは大西洋の優しい波が洗う海岸近くのオーシャンビューのホテルの一室。この曲にあこがれて、当時はアイスティーをずいぶん飲んだものです。残念ながら男友達とばっかりでしたが…。サビに持っていくまでのいやがうえにも気分が高まってしまうメロディーラインの巧妙さ。ほとんど聞こえないんだけど、後ろのほうで頑張っているフルートの音色。クーラーなどないクソ暑い自分の部屋で扇風機の風力を最大にあげてその風にあたりながら、この風はカナリア諸島の海岸に吹く風だ、と無理矢理自分に思い込ませて聴いていたという記憶がありますね。

以上、大滝師匠のマイフェヴァリットソング集でした。楽器が弾けたり、音符が読めたり、オールディーズに詳しい方にはまた別の見方があると思いますが、とにかく好きっていう感情を最優先に選んでみました。あ、この曲は私も好きだ、っていう人が現れてくれたら嬉しいなぁ。
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Commented by 240_8 at 2011-04-28 20:50
こんばんは。
思わず記事にしてしまいました(笑)。
この記事を拝見し、ついつい菊池桃子を思い出してしまいました・・・。私の懐かしい思い出です。
Commented by lemgmnsc-bara at 2011-04-28 22:29
240_8さんこんばんは。お久しぶりのコメントありがとうございました。無理矢理TBさせていただいた記事を公開いただき重ね重ね御礼申し上げます。
『ガラス壜の中の船』は曲調も詞の世界もちょっと暗いので遠慮させていただきました。師匠の描き出す明るいリゾート気分にあこがれていたもので…。
Commented by sugarmountain at 2011-04-30 17:24 x
はじめまして240-8さんの記事のリンクから寄らせていただきました。大滝の20曲楽しく読ませていただきました。やはり人によって好きな曲は異なるものですね。特に大瀧師匠の場合はっぴい、第一期ナイアガラ、第二期ナイアガラで音楽性が大きく変わっていますから群盲象を評すということわざのようになかなか大瀧師匠の全体像を理解するのは難しいことのように思われます。
逆に言えば奥が深い。新しい曲は作らない人ですが既存の曲も聞くたびに発見があるという意味では新曲は必要ないかもです。

ちなみに僕が選ぶとしたら『イーチタイム』からの曲は一曲も入らず「論寒牛男」など『ムーン』の曲が多くなるかと思います。カルガモのように生まれて最初に見たものを親だと思ってしまうんですよね(笑)。
Commented by lemgmnsc-bara at 2011-05-01 16:13
sugarmountainさん初めまして。コメントおよび興味深いTBありがとうございます。
私は完全にアフター・ロンバケ派です。それ以前の作品ももちろん素晴らしいと思いますし、実際に聴いてもいますが、特にこれからのシーズンの定番はロンバケ以降の曲になっちゃいますね。ビーチボーイズが長いお休みのあと「KOKOMO」をヒットさせたように、どこかでまたなにかムーヴメントを起こして欲しいものだと思いますが、「ラジオビバリー昼ズ」に生出演するくらいですかね…
Commented at 2011-05-13 23:09 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2011-05-13 23:23 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by lemgmnsc-bara at 2011-05-16 18:50
鍵コメさんご指摘ありがとうございます。いや、勉強になりました。もっと修行します!!
Commented by lemgmnsc-bara at 2011-05-16 18:51
鍵コメさん。わざわざ鍵コメにしていただいたのに、それに気付かず、お名前を書いてしまい申し訳ありませんでした。重ね重ねお詫び申し上げます。
by lemgmnsc-bara | 2011-04-21 20:13 | エンターテインメント | Comments(8)