『私は真犯人を知っている―未解決事件30』を読んだ

私は真犯人を知っている―未解決事件30 (文春文庫)

文藝春秋

スコア:




ちょっと前の衝動買いツアーの際に、最後の最後で目に飛び込んできた題名に見事に引っかかって買わされてしまった一冊。未解決のままであったり、真相が謎に包まれたままであったりする事件を30件取り上げて、真犯人あるいは、事件の中心人物についてアプローチしています。

冒頭を飾るのは「足利事件」。菅家利和氏が17年余りもの獄中生活を強いられた冤罪事件として名高い事件ですね。菅家さんへの警察ならびに検察からの謝罪は大きな話題になったものの、その陰で真犯人は依然として捕まっていません。日本テレビ社会部記者の清水潔氏は独自の「捜査」により、「足利事件」とほぼ時期を同じくして、足利、太田という隣接した都市で幼女の行方不明、または殺人事件が5件起こっていることを突き止めています。菅家さんが獄中で無念の涙を流している間、「真犯人」は法の網の目をすり抜け、のんきにパチンコでもしていたのだろうというのが、清水氏の推理。警察は事件はすでに時効を迎え終わってしまったものとして腰を上げようとはしていないそうです。なんとも歯がゆいオハナシですな。

続いては神戸連続殺人事件の「酒鬼薔薇聖斗」。つい先ごろ医療少年院から退院したというのが少々話題に上りましたが、今やこの事件も風化しつつあります。より凶悪な事件が多々起こってしまったということもありますが、マスコミがプライバシー保護という名目の下、取り上げなくなったというのも大いに影響していると思います。この本に掲載されたルポによれば、医療少年院では「チーム酒鬼薔薇」として4人もの人間が酒鬼薔薇の更生のために尽力したそうです。少年とはいえ、人を二人も殺している人物に「更生」が必要なのでしょうか?しかも彼の「更生」に使われるのは税金です。そこまでカネと人手をかけて更生させるほど価値ある人間なのでしょうか?私は、彼は終身刑にして一生強制労働させ、その対価として支払われる金はすべて遺族への慰謝料として支払わせるべきだと思います。更生して一般の人間と同様「真っ当な暮らし」をすることが罪の償いになるのでしょうか?私はNoと答えたいと思います。

その他、意外なところでは、KKコンビのドラフト秘話なども紹介されています。桑田投手は早大進学を打ち出しながら、実は心中密かに巨人入りを志願していたというのは今ではよく知られた話です。巨人が桑田単独指名をしたのは、清原、桑田の両取りを欲張って、両方とも他球団にさらわれるのを恐れたためだ、というのもその後明らかになったオハナシです。一度袖にされたからには、清原には徹頭徹尾アンチ巨人を貫いてもらいたかったですな。その方が、より多くのファンを獲得できたんじゃないかと思いますし、選手寿命も成績ももっと伸びたんじゃないかな、と思います。

なかなかに興味深いルポ集でした。巻末には村木厚子氏へのインタビューを江川紹子氏がまとめたルポルタージュも掲載されています。我々はこうした事件をマスコミを通じてしか知ることが出来ませんが、本当にこの報道が正しいのか?という疑問を常に持ちながら情報に接するという態度を忘れてはいけないな、と感じさせてくれる本だったように思います。
[PR]
Commented by himaru73 at 2011-04-21 19:39
この内容全部知ってる???と思いながら拝読してましたが、文藝春秋1か月分で特集した記事を丸ごと文庫化してたんですね(゜o゜)
妙なところで感心してしまいましたが、マスコミ報道を鵜呑みにできないってことを改めて思いました。
Commented by lemgmnsc-bara at 2011-04-21 22:30
ひまる。さんこんばんは。毎度コメントありがとうございます。
連載モノだったんですか?それは知りませんでした。若干一本一本が短めだな、とは感じてましたがね。まあ、雑誌の企画だけにタイムリーなネタが多かったのも事実ですね。
by lemgmnsc-bara | 2011-04-20 20:17 | 読んだ本 | Comments(2)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31