2011年 04月 16日
『歓喜の歌』鑑賞
立川志の舗の新作落語を映画化したのが標題の作品。日本人を喜ばせる要素たっぷりの「いかにも」な作品です。
舞台は東京近郊と思われる都市、みたま市。立川市と多摩市をむすぶ多摩都市モノレールが走るシーンがちょこちょこと挿入されます。立川市在住経験のある当家としてはノスタルジックな気分満開でしたね。時期はある年の年末。
12/30に翌12/31の二つの婦人コーラスグループのダブルブッキングが発覚した市民会館。主任の飯塚(小林薫)と職員の加藤(伊藤淳史)の二人がなんとか調整しようと走り回りますが、お互いのグループがお互いの主張を繰り返すばかりで一向にハナシは進展しません。飯塚は典型的なダメ公務員という役割を与えられており、あちらを立てればこちらが立たずという状況を無策で、ただ両者に頭を下げ続けることで乗り切ろうとします。当然のことながら事態はこじれにこじれ、時間だけが刻々と過ぎていくという展開。
おまけに飯塚には私的な厄難が二つ降りかかってきます。外国人パブの女に入れあげた結果愛想を着かされた女房と娘とは別居中。大晦日には食事の約束をしていたのに、ダブルブッキング騒ぎでその約束を反故にせざるを得ない雰囲気が濃厚。タダでさえよくない夫婦仲はますます険悪に。おまけにその原因ともなった外国人パブの経営者からは借金の返済を年末までに済ませることを要求されます。公私共に追い詰められていく飯塚。無責任で気の弱い卑屈な日本人を小林薫が好演しています。
さて、残された時間はあとわずか。いったいこの騒動の結末はどうなるのでしょうか?というわけでお約束の逃げ口上。この後は実際の映像をご覧下さいm(__)m。
まあ、飯塚と加藤がある決心をしてからは、ご都合主義の連続で事態はいい方にいい方に回っていきます。で、ラストはお約束の大団円。見事に日本人を喜ばせる方程式が完結しています。その仕上げ方が決して不愉快ではないところが演出の腕ってやつですかね。
二つのコーラスグループのうち、ハイソな奥様方の集まっている方ってのは得てして悪役的に扱われるのですが、とある心温まるエピソードを挿入することにより、決して一方を典型的な悪役にしないところにも好感が持てました。なお、この奥様コーラスグループの代表の役は由紀さおりなのですが、コーラスのメンバーにちゃんと安田祥子が入っていて笑えました。「持ち歌」であるトルコ行進曲のスキャットヴァージョンもちゃんと披露していましたし^^。
劇場で観るほどの価値はあったかどうかは疑問ですが、なかなか楽しめた作品ではありました。
by lemgmnsc-bara
| 2011-04-16 09:45
| エンターテインメント