2010年 12月 27日
『選手の心を動かす監督の言葉』を読んだ
元千葉ロッテマリーンズ投手の小宮山悟氏と、前サントリーサンゴリアス監督の清宮克幸氏の対談集。
このご両名は早稲田大学の同級生だったんですね。小宮山氏は2浪してますから年齢は小宮山氏のほうが上ですが。ちなみに私もこのご両名とは同じ「学年」に当ります。
題名どおり、この二人が指導者について語り合っています。小宮山氏は早稲田在学中の監督、石井連蔵氏について、清宮氏は木本氏と佐藤氏という二人の監督について。さらにこの二人は各々の部でキャプテンを務めた経験についても語り合っています。
私は大学時代からラグビーには少なからず興味を持っていましたので、清宮氏が語る木本、佐藤両氏の指導方法や、清宮氏がキャプテン時代に為したさまざまな改革についてはある程度知識がありました。例えば、清宮氏がキャプテンとなった年にはラグビー部の合宿所の食器をすべてそれまでのものより大きなものに換えたそうです。そうすることによって、部員の「食」に対する意識を変え、ひいては日常生活のすべての面を見直すことを求めたのだそうです。集団を変革しようと思ったら、まず毎日嫌でも目にするところから着手する。後年の改革者ぶりが早くも現れていますな。
対する小宮山氏。彼の場合、キャプテンとは監督と選手とのパイプ役。とりわけ監督の言葉を噛み砕いて選手全員に浸透させることがその役割の多くを占めていたそうです。小宮山氏の在学中は残念ながら成果として実を結ぶことはなかったそうですが、ここで監督とキャプテンの役割をはっきりとさせ、チームの方向性を確定させたことで、小宮山氏が卒業した翌年早稲田は6大学リーグで優勝します。
自らが指導者になってからの清宮氏は、低迷していた早稲田大学を常勝軍団へとよみがえらせ、ラストイヤーにはトップリーグの強豪トヨタ自動車を破るという快挙まで成し遂げました。サントリーサンゴリアスを率いてからは残念ながらちょっとパッとしませんでしたね。それまでの経歴が華々しかったこともありますが、在任4年でトップリーグ優勝が1回きりというのはちょっとさびしいです。しかし、選手のリクルーティングから、トレーニング方法、戦略・戦術などのすべての面において改革を行い、低迷期に陥りかけていたチームを立て直したのは事実です。
小宮山氏はいまだ、コーチや監督といった指導者の職には就いていませんが、球界でも屈指の理論派で、かつセリーグの野球もMLBも体験し、43歳まで現役を続けたノウハウはいつか必ず必要とされる時があることでしょう。
異色の対談でしたが、集団の意識を変え、一つの方向に向かせて力を遺憾なく発揮させるにはどうすべきか、ということに関してなかなか興味深い内容が述べられていたように思います。
by lemgmnsc-bara
| 2010-12-27 23:00
| 読んだ本