2010年 12月 21日
『性交と恋愛にまつわるいくつかの物語』を読んだ
出ると買い作家の一人、高橋源一郎氏のいささか刺激的な題名の短編集。
情報化社会の進展とともに、世に広く流布したものの一つとして性に関する情報ってのが挙げられると思います。ネットが社会のインフラの一角を占めるようになってからは、その氾濫ぶりに拍車がかかってますな。まあ、もちろん需要があるから、供給がなされるというのは厳然たる事実で、ネット環境が整えば、一度はエロ画像や動画のサイトをのぞいてみるでしょうね。特に男は^^。もちろん私は見たことがないなどとカマトトぶるつもりはまったくありません。エロサイトは言うに及ばず、エロ本やらエロビデオを観ていろいろ勉強しました^^;。
でも、情報があまりにも過多になってしまったが故に、性というものの形が少々ゆがんできてしまっているような気もします。アイドルやらメイドに入れあげるのはまだいい方で、小児性愛やら近親相姦など、従来は禁忌とされていた異常性愛を嗜好する人々や写真や画像にしか興味がわかず、生身の人間では欲望を満たせないなどといった人々が増大しつつあるように思います。
別に格好をつけるわけではありませんが、性交というのは恋愛の一つの頂点のはずです。ところが近年はこの価値を簡単にカネに換算してしまう風潮が特に強まってきているように思います。女子高生の援交なんてのは典型ですな。女子高生という「商品」は市場価値が高い。故に高値のうちに金銭に換えてしまおうというわけです。なんだかちょっと違うって気がするんですがね…。
閑話休題。この本は、現代社会における恋愛と性交にまつわる価値観の揺らぎみたいなものを、高橋氏流の切り口で表現しています。マスコミが流す情報に踊らされて、恋愛をしていないことが絶対的な悪だと思わされている気がしますね。かくいう私も一時期は、モテないことは地獄に落ちるに値する重罪だと思っていた時期がありました。一人で生きていくってのも、立派な選択肢のひとつなのですが、モテない男は罪という呪縛は結婚するまで解けませんでした。今から考えれば、単に腰が据わってなかっただけのハナシなんですがね…。
最近の高橋氏はエロ小説じみたものばかり書いているようなイメージがありましたが、性というものをテーマに情報に踊らされる人間の姿を描く、というのが彼の主眼だったのだな、と感じることが出来ました。なかなか面白い本だったし、高橋氏の主張がよく伝わってくる本でもありました。
by lemgmnsc-bara
| 2010-12-21 23:47
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