2010年 08月 16日
『エクスプレス 負けざる男たち』鑑賞
物語の前半は、幼少時からズバ抜けた走力を持っていたアーニーが、NYの名門大学シラキュースにスカウトされ、チーム内外からの様々な人種差別のプレッシャーを乗り越えて、大学アメフト界の最大の名誉ハイズマン賞を黒人選手として初めて受賞するところまで。アーニーの苦闘と栄光の日々が描かれます。アメフトで人種差別の壁を乗り越える物語としては『タイタインズを忘れない』という作品がありましたが、内容的にもかなり『タイタンズ』をパクッてましたね。内容も題名もテーマも他の作品からのいいとこ取り。その割りに内容が薄かったですな。アーニー個人の人種差別との苦闘と克服はなかなかよく描かれていたと思いますが、『タイタンズ』や『インビクタス』のように、その活躍が社会的なムーブメントにまで昇華される姿までは語られませんでした。もっとも、他の二つの作品とは時代背景が違いますから、アーニーの活躍というのは当時の人々、とりわけ白人にとっては、非常にインパクトの強いものだったのかもしれませんが…。
スポ根映画としての出来はそこそこだったと思いますが、社会的な視点の欠如が致命的。あくまでもアーニー個人と白人社会の戦いという構図になってました。最初はギクシャクしていた白人のチームメイトとの和解とか、もっと掘り下げていくべきだったと思います。そこをあっさりと終わらせてしまったため、なんとなく消化不良という感は否めません。
後半、事態は暗転していきます。NFLに一位でドラフト指名されたアーニーは当時としては破格の1万5千ドルでブラウンズと契約するのですが…、突然カラダの不調を訴えます。病名は白血病。今でも完治の難しい病気ですが、当時は不治の病でした。大学での輝かしい実績を引っさげて、さてこれから、というときに襲ってきた病魔。ここもひとつフォーカスすべき要素だったと思うのですが、さらっとストーリーが流れて、最後はナレーションが入ってお終い。なんだかなぁ…。
予算とかキャストとか、様々な問題はあったと思いますが、もっと別の描き方があったように思います。素材は悪くなかっただけに、残念な作品でした。もしかするとこの残念さがアーニーの無念さにつながっているのかなぁ…?んなわきゃねーな^^。
ちなみにこの作品ライフログで探してもありませんでした。重ね重ね残念な作品ですな。
by lemgmnsc-bara
| 2010-08-16 22:12
| エンターテインメント