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『約束』を読んだ

約束

北方 謙三 / 幻冬舎

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久しぶりに読んだ北方謙三氏の現代モノハードボイルド。氏の作品らしく、男臭さ全開です。

希少金属の貿易商藤森は、新聞で読んだ記事に引っかかりを感じ、殺人事件が起こったスナック「ベッシー」を訪れます。そこは藤森が昔愛した女の娘、明子が経営している店で、殺人の容疑が掛かっているのは明子の弟英二でした。結局英二はアリバイが証明され、無罪釈放となるのですが、殺人事件の裏に何か秘密が隠されていると睨んだ刑事、吉井もベッシーを訪れます。

藤森と吉井の間には奇妙な友情が生まれ、英二を含めた3人で殺人事件の陰に隠された大がかりな犯罪に迫っていきます。それがどんな犯罪で、彼らがどのようにアプローチしていったかを書いてしまうと完全なネタバレになってしまいますので、今回は早々とお約束の逃げ口上を使わせていただきます。詳しいストーリーは実際にお読みくださいm(_)m。

藤森がとにかく渋い。商売が順調で女を二人も囲える結構な身分にもかかわらず、どこか満たされない思いを抱えた48歳の男。格闘技の専門家ではないもののケンカもそこそこ強いし、商売の成り行きによってはヤバい相手とも堂々と渡り合う。こういう、何もかも備えていながらどこかニヒルな男にはあこがれちゃいますね~。まさにハードボイルド。私なんぞには望むべくもない生き方ですね。

最初は反発しながらも、いつの間にか藤森に魅かれ彼と英二をぎりぎりのところでサポートする吉井も味のある脇役ですね。出世とは無縁のたたき上げの刑事。これもドラマなんかでは定番のサエないけど地味にかっこいい男ですね。

屈折しながらも直情的な英二もいかにもって感じです。こんな濃いキャラクターたちが北方氏独特の乾いた文章に乗って躍動します。決して派手なアクションシーンを連想させる表現はないのですが、実際の戦いとはかくあるものだ、というリアルさがあります。

『楊令伝』の文庫化も待ち遠しいのですが、北方氏の別の現代作品も読みたくなっちゃいました。次回の衝動買いツアーの際は文字通り手当たり次第衝動買いしちゃいそうです^^;。
by lemgmnsc-bara | 2010-06-29 22:35 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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