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『ギャング オブ ニューヨーク』鑑賞

ギャング・オブ・ニューヨーク [DVD]

松竹

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これもまた監督マーティン・スコセッシ、主演レオナルド・ディカプリオコンビの作品。

19世紀初頭のニューヨークを舞台に、アイルランド系の移民の集団「デッド・ラビッツ」とアメリカ生まれのアウトロー集団「ネイティブ・アメリカンズ」がファイブ・ポインツという土地の利権をめぐって全面衝突する抗争シーンからストーリーはスタートします。この戦いでデッド・ラビッツのリーダー、ヴァロン神父はネイティブ・アメリカンズのリーダー、ビル・ザ・ブッチャー(ダニエル・デイ=ルイス)に刺し殺され、ファイブ・ポインツの覇権はネイティブ・アメリカンズのモノとなります。ヴァロン神父の息子であるアムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)は少年院に収監され、矯正教育を受けて出所しますが、心の奥底には父の敵を討つという思いを秘めたままでした。

抗争後勢力を伸ばしたネイティブ・アメリカンズは他の組織を圧倒し、ファイブ・ポインツに君臨していましたが、街は腐敗しきっていました。ビルに近づくために、アムステルダムは身分を隠してネイティブ・アメリカンズに入り込み、組織内でめきめきと頭角を現して、ビルの覚えもめでたくなっていきます。

そんなある日、アムステルダムは女スリ師ジェニー(キャメロン・ディアズ)と知り合います。ジェニーはビルと浅からぬ仲にあったのですが、アムステルダムと惹かれあっていきます。やがて、ビルはアムステルダムがヴァロン神父の息子であり、ひそかにビルの命を狙っていたことに気づいてしまいます。ビルはアムステルダムを拷問にかけた上、裏切り者として組織から追放します。

瀕死の重傷を負ったアムステルダムはジェニーの介抱でなんとか復活し、デッド・ラビッツを再組織してネイティブ・アメリカンズに戦いを挑みます。時あたかも南北戦争への徴兵令に反対する暴動の最中でした。混乱を極めるファイブ・ポインツ。果たして両組織の抗争の行方は?アムステルダムは復讐を果たすことが出来るのか?というわけでお約束の逃げ口上です。これ以上は実際の映像をご覧下さいm(_)m。

アメリカは移民の国ですが、最初から好意的に移民を受け入れていたわけではなく、様々な軋轢を経て複雑な社会を作り上げていったんでしょうね。今ですら、この時代の移民の流れを汲む社会組織同士が水面下で政治や宗教上の様々な争いを繰り返しているであろうことは容易に想像がつきます。この映画ではネイティブ・アメリカンズという、「地元出身者」の団体が幅を利かせていますが、実際のアメリカの歴史においてはアイルランド系の移民は高名な政治家を輩出し、大きな影響力を持っていたそうです。宗教的にもプロテスタントのネイティブに対し、アイルランド系はカソリックです。この辺の文化の違いを理解しておかないと、単なるアメリカ版の任侠映画という理解になってしまいますな。

役者の中ではダニエル・デイ=ルイスが出色。主役のはずのディカプリオを差し置いて英国アカデミー賞の主演男優賞を獲得してしまったほどです。確かに肉切り包丁を見事に使いこなし、悪役ながら、一つの集団のリーダーとして冷酷に断を下し、組織の秩序を守っていく姿は圧倒的な存在感がありました。

アムステルダムとジェニーの恋模様は余分な付け足しだったような気もしますが、まあ、特殊な趣味の持ち主でもない限り美女が出てくるのを嫌がる人はいないでしょうから良しとしましょうか。

アメリカという国の成り立ちの基礎知識くらいはアタマに入れて観ないと、ディカプリオとキャメロンの顔見てお終いってなことになりかねない油断のならない映画だったと思います。
by lemgmnsc-bara | 2010-05-08 01:07 | エンターテインメント

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