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『ユニクロvsしまむら』を読んだ

ユニクロ vs しまむら(日経ビジネス人文庫)

月泉 博 / 日本経済新聞出版社

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ただいま世を挙げてのファストファッション流行り。H&MやらZARA、FOREVER21なんかが都心の一等地に続々と進出し、各々の店が行列の長さを競っていますな。

しかし、これらの店はまだ、局地的な展開であり、点にしか過ぎません。文字通り日本全国津々浦々に店舗を展開し、小売業とデフレの牽引車になっているのが標題にある「ユニクロ」と「しまむら」の2チェーン。しまむらは近所にないのと、女性モノ(もっというとおばちゃんモノ。でも最近は「しまラー」という言葉もあるくらい若いギャルの皆さんにも人気があるようですな)中心というイメージしかないので行ったことはありませんが、ユニクロはちょいちょい利用しています。まあ、サイズの問題とバッティングする人が多そうなので、今のところインナーしか利用してませんがね^^。

この2つのチェーンの経営哲学や、チェーン運営の仕組みを比較し、解説したのが標題の書。自らの手で商品を開発し、一つ一つの店でアイテムを大量に売るユニクロと、メーカーや問屋の力を最大限に利用した商品調達と、狭い商圏を確実に押さえるしまむら。運営の仕方はまったく対照的ながら、目指すところは同じ。集客力を高め、売り上げを伸ばすことで収益を確保し、確保した利益を投資して拡大再生産を繰り返して成長していくことです。ま、企業の目的は利潤追求ですから、当たり前の話なんですけどね。

成長振りも好対照。幾度かのブームと急激な落ち込みを繰り返し、一過性のファッションから、モードとして定着しつつあるユニクロと、マスコミを賑わすような派手な成長こそしないものの、運営のシステムを日々進化させ、着実に歩みを進め、1000店舗を達成したしまむら。二つの会社ともいまやアパレル業界のみならず小売業全体を見渡しても堂々の横綱クラスと言ってよいでしょう。

私自身の好みで言わせてもらえば、ユニクロの方が面白そうではあります。何と言っても自分で商品を創り出せるかもしれないというところに夢がありますね。もちろん重い責任を背負わなければならないこととうらはらではありますが…。一方で今やっている仕事に結びつきそうなのはしまむらの合理化と改善のサイクル。特にある店で売れ残ったものを他の店に転送して売り切ってしまい、なおかつきちんと利益を確保する低コストの仕組みは興味深いです。

日本全体がデフレ傾向から脱することが出来ない中、この二つの企業の動向は非常に興味深いです。凡百のGMSの単なる値下げとは違う、利益を確保しつつ顧客を逃がさない手法は一朝一夕には築き上げられるのものではありませんが、見習うべき部分は大いにあると思います。
by lemgmnsc-bara | 2010-04-22 23:33 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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