2009年 12月 25日
『イングロリアス・バスターズ』鑑賞
少々前に『キル・ビル』を観たときにも感じたことですが、タランティーノ監督はグロなシーンがお好みのようですな。バスターズたちはナチス兵たちを殺しまくり、あまつさえ頭の皮をはぐという悪の権化インディアン並みの蛮行をみせます。また、この頭の皮をはぐところを生々しくみせる映像の作りなんですよ、これが。血しぶきが飛び散る銃撃戦なんてのはほんの序の口。ナチス兵の頭をバットで散々殴りつけて殺すというキャラクターやら、元々ドイツ人なのにナチの幹部を暗殺しまくってアメリカに亡命してきた兵士とか、一癖も二癖もある連中が暴れまわります。
このバスターズたちの「快進撃」とは別に、ナチスによって家族を惨殺され、一人だけ生き残ったフランス系ユダヤ人少女ショシャナが暗躍します。彼女はパリで親戚から相続した映画館を経営しているのですが、、この映画館でナチスの重要人物が全員集合する宣伝映画会を催すこととなります。そこでショシャナは復讐を計画します。また、バスターズたちもこの好機をとらえて、ナチスを壊滅させるべく、さまざまな策をめぐらしますが、ひょんなことから正体がばれてしまい、作戦を遂行するはずだったドイツ語を話せる人物がすべて殺されてしまいます。ショシャナの作戦とバスターズたちの作戦は見えない糸で結ばれたようにお互いを引っ張り合って絡んで行きます。ところが、上映会の本番直前に映画館にもぐりこんでいたレイン中尉の正体がばれてしまい、ナチスに捕まってしまいます。果たしてバスターズたちによるナチスの要人暗殺は成功するのか?ショシャナの復讐は成るのか?結果についてはお約束のフレーズを使わせていただきます。本編を観てください^^;。
全編を通じて印象的だったのはクリストフ・ヴァルツ演じるSSのランダ大佐。ユダヤ人狩りの総責任者にして、超一流のスパイという設定でしたが、この人物は実に冷酷無比かつ憎々しく描かれていました。ドイツ語はもとより、英語、フランス語、イタリア語まで流暢に操り、イタリア人に扮して映画館に潜入しようとしたランダ中尉の正体を見破るという設定は秀逸。ブラピではなく、この人物が主人公といってもいいくらい映画全体を引っ張ってました。最後の最後にしっぺ返しをくらって痛快さを演出するところなんかも心憎いばかりです。
2時間半近くの長い映画でしたが、その長さを感じさせない映画ではありました。ストーリー展開といい、結末といい、決して爽快ではないんですがね。
タランティーノ監督は自らを「映画オタク」と称するほどに、膨大な映画の知識を持った人のようです。そのためファンによれば、監督が好きな映画に対するオマージュのようなシーンが数多く観られるのだそうですが、最近になって最高権力者様に引っ張られて映画を観るようになった私には、残念ながらその知識についていくだけの蓄積がありません。今後より多くの映画を観て、タランティーノ監督の作品を観たときに「これはあの映画のあのシーンのパロディーだな」とニヤリとできるようになってみたいものです。
by lemgmnsc-bara
| 2009-12-25 19:36
| エンターテインメント