映画であった本当に怖い話【追加写真収録1・2電子特別合本版】 (角川文庫)

永田 よしのり/KADOKAWA / 角川書店

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私は霊感というものが全くありません。故に「ここには絶対何かある」とか、「なんだか知らないけど、ヤバい」みたいな感覚は味わったことはありません。好んでそういうモノが出現しそうな場所に行く趣味もないし、宿や住居も、幸か不幸か何かが出ると噂のある物件には当たったことがありません。幼い頃は訳もなく暗がりが怖かったり、『うしろの百太郎』や『恐怖新聞』を読んで一人で寝るのが怖くて両親の寝室にもぐりこんだりしましたが、今は毎日会社に行くのが一番怖い(笑)。

とはいえ、恐怖という感情の生じ方に興味があるし、どのように表現したら恐怖がより効果的に伝わるのか、ということにも大いに興味がありますので、怖い話を見聞きするのは好きです。ミステリーの一つの手法として、この世のものならぬ存在を匂わせてそれを犯人にしてしまう、というものがありますが、そういう類の話も好きです。そういう話が得意な阿刀田高氏や高橋克彦氏の著作は出ると買いします。

というわけで、とある日にkindle本の検索ワードに「恐怖」という文字を打ち込んでみたところでてきた標題の書を衝動DL。映画の撮影現場で起こった様々な怪異現象を記してあります。

取り上げられた作品は全て、恐怖をテーマにしたもの。電波が飛び交い、様々な電子機器が多数存在する映画撮影の現場には一種独特の「磁場」みたいなものが発生して、それによって霊が集まるのではいかと著者は推測していますが、では恋愛ものだとかアクションものではそういった噂を聞かないのはなぜでしょう?

一つには、マイナスイメージを嫌う制作側がそのテの情報を握りつぶしてしまうこと。恐怖映画の場合は逆にそういう噂はいいスパイスとなって、ストーリーを彩るコンテキストの一つになりますが、その他のジャンルでは単なるマイナス要素でしかありません。実際には怪異が起こっていても、箝口令が敷かれているであろうことは想像に難くありません。

もう一つは、制作に関わる人全ての集団心理によって、何らかの怪異が認識されやすいということ。ロケ場所も「いかにも」って場所が選ばれるでしょうし、視覚的にも音楽的にも恐怖を煽るような表現をなすのが目的なわけですから、敏感になった神経が、何かを感じ取った気にしまう可能性は大いにあります。

そうは思いつつも、科学では説明のつかない現象とされてしまうものの全てがただの錯覚や思い込みだとされてしまうのもつまらない。本当のところはどうなのか、ってのは無理に明らかにする必要はないでしょう。怪しそうな場所には怪しいモノが潜んでいて、何かの拍子にそれが出てきてしまうのだ、と考える方が健全ですし、疲れないでしょう(笑)。

なお、作品の中に実際に訳のわからないモノが写り込んだものもあるようです。それがどの作品なのかはぜひ本文に当たっていただき、興味がわいたら実際に作品を観て見ることをオススメします。私は残念ながら、観たいと思った作品はありませんでした。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-15 17:16 | 読んだ本 | Comments(0)

ハルのゆく道

村上 晃一/天理教道友社

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今や日本代表、サンウルブズ両チームに欠かせない存在となったのが、この本の主人公立川理道選手。ラグビーライターの第一人者村上晃一氏による、立川選手の半生記が標題の書。

私が立川選手の存在を初めて知ったのは、彼が天理大学に在学している時でした。関西の大学ラグビー界では古豪として知られてはいたものの、「栄光の日々は遠い過去」という状態だった天理大学のラグビー部が突如として再浮上し、同志社や京産大などの強豪を次々と倒すまでの存在となり、正月の大学選手権にまで進出するという状況になったため、天理大学のラグビー部を意識せざるを得なくなったためです。

当時の天理はハベア、バイフという二人の外国人留学生を両CTBに置くという布陣を敷いていました。FWの二列目、三列目でプレーさせることが常識だったパワフルな外国人を二人ともCTBに起用するという斬新さもさることながら、その二人をランナーとして活かし切っていたのがSOをポジションとする立川選手でした。自分自身も骨太のガッチリとした体格ながら、闇雲に突っ込むのではなく、まずはCTBを活かすためのフラットかつ素早いパスを送る。これによってトップスピードに近いタイミングでパスを受け取った両外国人のパワーが炸裂する。で、CTBに意識を向けると、内側のスペースを外国人に負けず劣らずの力強さで立川選手が突いてくる。自分も含めてチームにとって最良となるプレーは何なのかの判断が常に的確であるという印象を持ちました。

もちろん彼と両外国人だけで勝ち抜けるほど関西大学ラグビー界は甘くはありませんが、それにしても立川選手のプレーが輝いて見えたというのも事実。大学在学中からジャパンに呼ばれたのも当然のことと誰しもが納得しました。で、彼の起用は2015年のあの感激に見事につながってくるのです。

立川理道という人物はどんなルーツからどんな環境を経て、今のような存在となったのか?村上氏の筆は余すことなくその過程を描き切っています。そして、立川選手の「ゆりかご」となった天理ラグビーの歴史についても、詳細に解説してくれているというお値打ち品でもあります(笑)。天理教は二代目の最高指導者の時代から、その精神を教義に取り入れ、教義の実現方法としてのラグビーに深い理解があるということがよくわかる内容となっています。ラグビースクール、中学、高校、そして大学まで指導の軸が一本ピシリと通っていながら、決して選手たちを厳しく束縛することなく強化していく。楽しい上に結果がついてくる指導法だというわけです。余談ながら、私の母校である高校が最後に花園に出た際に戦って負けたしてが天理高校であってことを思い出しました。

2015年の感激から早2年。サンウルブズでも日本代表でも、トップリーグのクボタスピアーズでも立川選手は厳しい状況下での戦いを強いられています。しかし、その試練は2019年に大輪の花を咲かせるための肥料であると信じましょう。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-15 11:10 | 読んだ本 | Comments(0)

マダム・フローレンス! 夢見るふたり [Blu-ray]

メリル・ストリープ,ヒュー・グラント,サイモン・ヘルバーグ,レベッカ・ファーガソン,ニナ・アリアンダ/ギャガ

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押しも押されぬ名女優メリル・ストリープと伊達男ヒュー・グラントの共演作。無類の音痴ながらカーネギーホールでリサイタルまで開いてしまったフローレンス・フォスター・ジェンキンスという実在の女性を描いています。

主人公フローレンスを演じるのはメリル・ストリープ。歌をうまく歌うというのはもちろん難しいのですが、素っ頓狂なメロディーを「自然」に歌うのはもっと難しい。上手い人が「下手な人風」に歌うと、どうしてもワザとらしさが鼻についてしまうのですが、今作に関しては自然な仕上がりだったと思います。(アテレコだったか否かは知りえませんでした…)

さて、フローレンスは聞いた人が耳をふさぐか、あるいは大笑いするかどちらかというひどい音痴なのですが、ソプラノ歌手としてステージに立つという夢を決して諦めませんでした。専属のピアニストを雇い、ボーカルトレーニングにも高名な音楽家を招いて至極真面目に練習します。しかし、その程度では如何ともしがたい、先天的な才能の欠如。いざステージに立つ際にはピアニストは演奏を渋り、指導した音楽家は自らの名声に傷がつくことを嫌って、コンサートホールに行くことを拒否したばかりか、自分の名前を出さないことを条件にまでします。

「カネがもらえるから、仕方がなく、金持ちのババァの酔狂に付き合ってやってんだよ。こんな音痴にかかわずらうのは本当なら願い下げなんだっつーの」というミエミエの描写が笑いを誘います。

さて、ヒュー・グラント演じるフローレンスの夫シンクレアは彼女の真面目さに付き合って、リサイタル実現のために奔走し、実際に彼女をステージに立たせます。その一方で愛人を囲って何かと言い訳を作っては愛人の家に入り浸るというしたたかさも見せます。しかし、本当に「カネ目当て」だけでなくフローレンスをフォローしているのは彼だけだという描写もなされます。

周囲の人間の思惑をよそに、ついにフローレンスはステージに立つのですが、そこに来た客はほとんどがその音痴っぷりを嘲笑うことが目的でした。彼女の歌を録音したテープをとある人物がラジオに持ち込み、それがいろんな意味で評判を呼んだからです。今でいうと、ジャスティン・ビーバーが取り上げた途端にピコ太郎にあっという間に火がついたようなもんでしょうか。

彼女はその悪評をものともせずにあくまでも真面目にカーネギーホールを目指していきますが、果たして…。

まあ、一種のスポ根モノです。最後は結局努力が実を結んでハッピーハッピーなんですから。ギャグとかくすぐりではなく、皆が皆真面目に演じていることで笑えた珍しい作品ではありました。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-14 16:09 | エンターテインメント | Comments(0)

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK [Blu-ray]

トム・クルーズ,コビー・スマルダース,ダニカ・ヤロシュ,ロバート・ネッパー,オルディス・ホッジ/パラマウント

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トム・クルーズ主演のアクションもの。同名の人物を主人公にした小説の映画化作品だそうです。2012年に『アウトロー』という作品が公開されており、本作『Never go back』はその続編だとのこと。

主人公リーチャーは軍を除隊後、定職に就かずあちこちを放浪する毎日を送っています。ある日、リーチャーは現在の軍の司令官であるターナー少佐をたずねて司令部を訪れますが、ターナー少佐は部下殺しとスパイの容疑をかけられて投獄されていました。

この事態を不審に思ったリーチャーは、背後関係を探るため軍の法律関係の専門家に会うのですが、そこで、自身の娘サマンサの存在を知らされます。その後、この法律の専門家は撲殺されてしまうのですが、なぜかこの犯行をリーチャーが行ったことにされてしまいます。ターナー少佐と自分自身の冤罪を晴らすために、リーチャーはターナー少佐を刑務所から救い出し、一緒に謎を追うこととなります。

ここで先ほど存在が明らかになったサマンサが大きな役割を持つことになります。法律の専門家を撲殺した殺し屋が、リーチャーの動きを封じ込めようとサマンサの身柄を押さえるために迫ってくるのです。

リーチャーとサマンサのコンビはこの殺し屋たちと戦いながら、自らの名誉を守るため、謎へアプローチして行く、というのが大まかなストーリー展開。結末まで書いてしまうのは、この作品のサスペンス要素を損ねてしますことになるのでストーリー紹介はここまでとしておきます。

要するに、アクションスターとしてのトム・クルーズを見せるための作品なのですが、『ミッション・インポッシブル』に『マイノリティー・レポート』のエッセンスを少し加えただけのもの。大掛かりな仕掛けや、ブルージュハリファを舞台にするような派手さがない、イーサン・ホークが孤立無援の状態で、困難さに立ち向かって最後は大団円を迎える、というだけのストーリーです。

アクションに派手さがない分、仕上げはヒューマンなものを意図しているのだと思いますが、どっちつかずの非常に中途半端な結果に終わってしまったという印象です。辛い味のカレーを期待して食いに行ったら、出てきたものは唐辛子を多量にぶち込んだ、ただ単に辛いだけの旨味のない代物だったというような幻滅を覚えました。トム・クルーズの存在なしには日も夜も暮れぬというファンでもなければ、『ミッション・インポッシブル』を観ておけば十分です。

なお、ネット上の評価を見る限りでは一作目の『アウトロー』の方の評判は良いようですので、そちらは観てみたいと思います。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-08 18:02 | エンターテインメント | Comments(0)

ダーティ・グランパ [Blu-ray]

ロバート・デ・ニーロ,ザック・エフロン,ゾーイ・ドゥイッチ,オーブリー・プラザ,ジェイソン・マンツォーカス/松竹

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押しも押されぬ名優ロバート・デ・ニーロと、若手の有望株ジャック・エフロン共演によるコメディー。

連れ合いを亡くしたばかりのディック(デ・ニーロ)は生真面目な弁護士である孫ジェイソン(エフロン)を、強引にフロリダ旅行へ同行させます。ジェイソンは良家の令嬢との結婚式を間近に控えており、その準備で忙しいことを理由に断ろうとしたのですが、ディックから「最後(になるかもしれない)の頼みだ」との言葉に押し切られたカタチです。

ジェイソンがディックを迎えに行くシーンがまずぶっ飛び。ディックは朝から酒をかっくらっている上、エロビデオを観ながら青少年が耽るような一人遊びの真っ最中。このシーンだけでこの作品の「方向性」がわかってしまうという巧妙な作り。妻という重石が取れて、メチャクチャはしゃぎたいじーさんと、それに振り回される生真面目な孫のドタバタなんだろうな、と思ったらその通り。でも結局はジェイソンもディックに引っ張られて、酒とドラッグを浴びるほど嗜んでしまい、股間に動物のぬいぐるみを装着しただけの姿でマカレナを踊り狂ったりします。この辺のドタバタが一番の笑いどころ。じーさんの性格もぶっ飛んでますが、孫にもその地は濃厚に受け継がれているという事実を暗示していたりもします。

じーさんは自分のぶっ飛んだ性格を受け継いでいるはずの孫が、堅苦しい良家のしきたりや、束縛ばかりしたがる婚約者とは絶対に合うことはなく、その結婚生活が不幸あものになるであろうことを予見していたのでしょう。じーさんには、性格も行動もじーさんそっくりなもう一人の孫(ジェイソンの従兄弟)がいるのですが、そっちを旅に誘わず、一見すると真逆な性格であるジェイソンを連れ出したことがそれを示しています。

結局、結婚式前の友人知人を招いての食事会の席で、ものの見事にこの結婚は破談となります。そしてジェイソンはじーさんとの道行き中に再会した大学時代の同級生と結ばれることとなるのです。

じーさんには孫よりももっとぶっ飛んだエンディングが待っています。どんなエンディングかは本編をごらんください。

理屈抜きで笑える作品でした。もし日本でこの作品をやるとしたら、高倉健氏や三船敏郎氏などの大御所に登場願えればさぞかし笑えるものなったであろうと思います。本人たちはやりたがりそうもない役ではありそうですがね。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-07 10:09 | エンターテインメント | Comments(0)

ウルトラマラソン マン

ディーン・カーナゼス/ディスカヴァー・トゥエンティワン

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以前に紹介した『EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅』の姉妹本。出版社も著者も違うんですが、要するに、より過酷な条件の下で、より長い距離を走ることに喜びを見出す人が書いた自伝です。

こういう人は尊敬に値するとは思いますが、私はこうなりたいとは思いません。基本的に走ることが嫌いだからです。ラグビーみたいに、そこにボールがあるとか敵がいるとかいう「目的」があれば話は別(最近はそこにボールがあっても敵がいても、前にもまして走れなくなっちゃいましたが…)ですが、ただ走ることを目的に走る。あんな苦しいことを誰が目的にしようってんでしょうか?

ところがどっこい私にとって理解不可能なことに、マラソンランナーってのは多いですね。トラック種目の10万mからフルマラソンまで、アスリートは山ほどいるし、ただ単にそこらを走り回ってる人も多々います。なにを好き好んであんな苦しいことをやろうとするんでしょうか?

この本の著者などはそのなかでも指折りのマゾヒストだと言えます。ふつうなら20人程度の人数で走るウルトラリレーマラソンを一人で走りきってみせるわ、寒暖の差が30度もあるような砂漠を走るわ、しまいには南極点に行ってまでフルマラソンを走ったりします。ただ走るだけでもシンドイし、南極の極地点近くにいくだけでも命の危険があるというのに、その悪条件を二つも三つも重複させようってんですから、人知を超えたマゾヒストであるとしか言い様がありません。

一体何のためにそこまでして走るのか?襲い掛かる苦難を乗り越えた後に得られる満足感が何物にも代えがたいからだそうです。これだけの困難を乗り越えれば他人からの賞賛も絶大なものとなるでしょうが、それはあくまでも副次的なことで、とにかく自分自身に打ち克ったということが一番の賞賛なのだとか。いやはや。

私にはこんなこと到底できそうにないし、やろうと努力する気にもなれません。ただし、小さくても良いから自分自身に打ち克とうとする努力だけは続けていくべきなんだろうな、ということだけは感じました。トレーニングしかり、文章書きしかり、種々のお勉強しかり。会社の仕事だけはゆるやかな下り坂で結構(笑)。次の一歩を踏み出すための努力だけは続けて行きたいなぁ…。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-06 20:21 | 読んだ本 | Comments(0)

相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断 豪華版 [Blu-ray]

水谷豊,反町隆史,鈴木杏樹,川原和久,山中崇史/Happinet

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テレ朝が誇る人気コンテンツにして、当家の定番視聴番組である『相棒』の劇場版4作目。

冒頭は、無邪気(そうに見えるのですが、実は、といういつものドラマと同じような伏線が張られています)に少女たちがかくれんぼをして遊ぶ姿の描写。

隠れていた少女の一人瑛里佳は誰も探しに来ないので、いつのまにか寝入ってしまいます。目を覚まして、隠れていた場所から外に出た瑛里佳が見たものは、その場(海外のホテルまたは大邸宅)に居合わせた人々全員の死体。そして瑛里佳は誘拐され、誘拐犯からは日本政府に対し身代金の要求がありましたが、政府は支払いを拒否。この決断を下したのは甲斐峯秋(三代目相棒甲斐享の父親でもあります。身内に犯罪者が出たら、警察って辞職しなきゃいけないんじゃなかったっけ?)。そして瑛里佳は日本から見放された人間となってしまいます。

普通に考えると、瑛里佳は殺されて終わり、なのですが、瑛里佳は生きていました。

場面は変わって現代の日本。とあるホテルで毒物による中毒者が大量発生し、実行犯からは犯行声明がネットに動画で出されます。その画面に映っていたのが10年前に誘拐された瑛里佳。瑛里佳は、実行犯は瑛里佳を誘拐したのと同一組織で、テロ行為を回避したくば要求通りの金額を支払え、という内容の紙を持たされていました。

で、我らが警視庁特命係、杉下右京と冠城亘の登場です。特命係を目の敵にしている、いつもの上層部コンビと捜査一課が目一杯の人海戦術であまり頭を使わない力技の捜査で犯人を突き止めようとするのに対し、特命係コンビは「細かいところを気にしてしまうのが僕の悪い癖」と嘯く右京氏の推理を基に犯人たちにアプローチしていきます。

ま、展開はいつものドラマと同じです。ゲスト主役の鹿賀丈史をはじめ、2代目相棒のミッチーや一時は4代目相棒就任が確実視されていた仲間由紀恵、鑑識官米沢役の六角さんなどのサブキャラも、現在の設定で出演可能な人物は全て登場するという豪華版。さらにクライマックスシーンの群衆にはかなりのエキストラを用意したようです。お金は確かにかかっているのですが、先にも書いた通り、ストーリー展開は通常TV版と大して代わり映えしません。右京さんの推理が「えっ?」て人物を真犯人として特定して、最後はその人物を逮捕してメデタシ、メデタシ。

金を出して時間をかけて、映画館に行ってまで観たいか?と問われると、そこまでしたいとは思わない、と答えざるを得ません。ドラマの世界観がしっかりと踏襲されているという安心感はありますが、それだけですね。ドラマのファンは中高年層が多いそうですが、劇場版の観客もしかりで、年齢層は高めだったようです。10月から新シリーズが始まるようですが、そちらは楽しみにしたいと思います。




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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-01 12:45 | エンターテインメント | Comments(0)

『ムーンライト』鑑賞

ムーンライト スタンダード・エディション [Blu-ray]

トレヴァンテ・ローズ,アシュトン・サンダース,アレックス・ヒバート,マハーシャラ・アリ,ナオミ・ハリス/TCエンタテインメント

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今年のアカデミー賞で、MCのミスにより、落胆から歓喜へと駆け上ったのが標題の作。

最底辺の生活を送る黒人で、しかも同性愛者であるという、「差別してくれ」といわんばかりの属性をもった少年の成長する姿を描いています。

主人公は、黒人少年シャロン。彼は通っている小学校でいじめられており、追いかけてくるいじめっ子から逃げるためにとある廃屋に隠れます。そこに現れたのは、麻薬の売人フアン。彼は売人というお天道様に顔向けできないような職業についていながら、シャロンをやさしく扱い、生きていくための強さを身につけるよう諭します。

しかしながら、現実はそうそう甘くはありません。シャロンの母親は薬物中毒で、シャロンにまで金をせびる始末。いわゆるネグレクトの状態ですし、高校生になってもあいかわらず、不良たちからいじめの標的にされています。

そんなある日、少年がキューバ系の黒人ケヴィンから散々に殴られるという事件が起こります。このケヴィンこそは、少年の無二の親友であり、最初に結ばれた同性愛の相手でもありました。

ここで、ついに堪忍袋の緒を切ったシャロンは、不良のリーダー格の少年を椅子で殴り倒し、逮捕されてしまいます。

数年後、シャロンはいっぱしの売人になっていました。体も鍛え、フアンが言っていた「強さ」を身につけることには成功していますが、でもやっぱり違法なことをやっているという後ろめたさは持ち続けています。そんな少年にケヴィンが連絡をしてきます。ケヴィンもまた、少年院送りになった後にレストラン経営で成功していたのでした。久しぶりに再会した二人は、懐かしさだけではない感情をたかまらせていき…というのがラストシーン。

スペクタクル性という意味においては『ラ ラ ランド』のほうが数段上ですが、人間の存在と尊厳、一歩道を間違えたことで大きく狂ってしまう人生、そして愛、といった深い部分の描写はやはりこちらの作品のほうが優れていると思います。観衆を熱狂させる雰囲気には決してならないでしょうが、帰り道にいろんなことを考えさせるような作品ではあると思います。余韻の長く残る、味わい深い作品でした。


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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-28 11:28 | エンターテインメント | Comments(0)

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 [Blu-ray]

オスカー・アイザック,キャリー・マリガン,ジョン・グッドマン,ギャレット・ヘドランド,ジャスティン・ティンバーレイク/東宝

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ハリウッド屈指のヒットメーカー、コーエン兄弟によるヒューマンコメディー。カンヌ映画祭でのグランプリをはじめ、数々の賞を受賞した作品で、どこかの映画解説本で「観るべき映画」リストみたいなものに連なっていた作品。この映画解説本のリストは手帳に書き写してあったのですが、ついつい新作にばっかり目がいってしまい、ようやく借りてきました。

このお話は実在のフォークシンガーの自伝が原作だということです。

冒頭、ライブハウスでの演奏を終えて出てきた主人公ルーウィンが、待ち伏せていた正体不明の男にいきなりボコボコにされるシーンが出てきたときは、一体どんなストーリーになるのか不安に駆られましたが、バイオレンスなシーンはここと最後だけ。あとは、挫折を繰り返しながらも懸命に自分の夢を追い求めて奮闘する主人公の姿が、淡々と描かれます。

冒頭にも書いた通り、一応この作品はコメディーにカテゴライズされるようですが、特に笑えるシーンはありません。コミカルなシーンと言えるのは、ルーウィンが転がり込んでいた友人宅の猫がちょっとした隙をついて外に逃げてしまい、それを慌てて追いかけるところくらい。あとは、泣き面に蜂という状況が次々とルーウィンに襲いかかってくるところがユーモラスといえばユーモラス。どちらかというと、笑えるというよりは惨めったらしさに自分の気持ちまでが落ち込みかけるようなシーンばっかりでしたけどね…。

で、様々なハプニング、苦難、困難を乗り越えたルーウィンが、最後には自作の歌を披露したライブハウスで拍手喝采を浴びて出てくると、冒頭のシーンに繋がるという仕掛けが施されています。この演出の意味が今ひとつ不鮮明で、私は少々混乱しました。いずれにせよ、主人公の未来は明るくなりそうだ、という暗示のままネームロールヘと突入します。

ユーモアという感覚に関する彼我の差を一番に感じた一作でしたね。日本だと、もっと泥臭いエピソードをこれでもかこれでもかと盛り込んで、最後は涙涙みたいな「スポ根モノ」じみた仕上がりにしてしまうであろうところを、不条理に仕上げたところがコーエンメソッドなのでしょう。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-28 10:37 | エンターテインメント | Comments(0)

『の・ようなもの』鑑賞

の・ようなもの [DVD]

秋吉久美子,伊藤克信,尾藤イサオ,小林まさひろ,大野貴保/KADOKAWA / 角川書店

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故森田芳光監督作品。小堺一機、関根勤(出演当時はまだラビット関根)の「コサラビ」コンビがおすぎとピーコを髣髴とさせるオカマコンビを演じているのを観たかったというのが第一の目的。関根氏がラジオやコントなどの場でさんざんネタにしていた、でんでん氏の怪演ぶりを観てみたい、というのが二つ目の目的でした。

第一の目的のシーンは早々に出てきて、あっという間に終わっちゃいました。衣装とか髪型で撮影当時の1981年をしのぶことは出来ましたが、このコンビが売れた後の、出てきただけで大爆笑を誘うようなモノマネの切れ味はまだ観られませんでした。まあ、この映画の中での彼らの役柄はあくまでもチョイ役ですから仕方ないんですけどね・・・。

第二の目的、でんでん氏について。最近でこそ、味のあるバイプレーヤーとして刑事役や、犯人役などで存在感を示している同氏ですが、もともとはお笑い出身。それも現在で言えば、ノンスタイル井上などのようにブサイクなのに気障ったらしいセリフを吐いて笑いをとるというスタイルで、そこそこ面白かったという記憶があります。関根氏によると、出演前には、いつも「俺の演技はすごいからちゃんとみとけよ」みたいな大口を叩いているのですが、いざ本番に入るとアガッってしまってセリフがしどろもどろになるところが滑稽だったとのことなのですが、この作品では特におどおどした様子もなく、無難に売れない落語家を演じていましたね。ただ、出てくるたびについつい「どうだ、かっこいいだろう」っていう往年の決めゼリフがどうしても浮かんできちゃいはしましたがね。

さて、ストーリーの紹介を少々。二つ目の落語家志ん魚(伊藤克信)が主人公。二つ目の落語家というのは落語家「のようなもの」ではありますが、まだ一人前の落語家ではない。ソープのおねえさんや女子高生のお姉ちゃんたちとも付き合いはするのですが、どちらもいわゆる「本命」とはちょっと違う。彼氏「のようなもの」。要するに志ん魚は、その社会的人格のすべてが何か「のようなもの」で常にあっちにふらふら、こっちにふらふらしている。でもそのことを恥じるでもなく、悩むでもなく、ただ飄然と日々を過ごしています。

この設定、どこかで同じようなものをみたことがあるというデジャヴを感じました。そうそう、又吉先生の芥川賞受賞作『火花』に非常に良く似た設定です。あちらの主人公が破滅型の芸人なのに対し、こちらは、あることがきっかけで、落語家になりたいという自分を発見し、そこに向かって邁進していくのであろうという、明るさを感じさせるエンディングになっています。

バブル期直前、漫才ブームやアイドルブームがおこりつつある時代の不安定ながら不安ではない若者たちの群像劇。同じようにカネはなくても、今よりはミジメでなかった若者たち・・・。リアルタイムで観たらいったい私はどんな感想を持つに至ったのでしょうか?今となっては、バブル景気という花火が打ちあがる前の、時代の盛り上がりを懐かしく感じるのみです。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-11 17:42 | エンターテインメント | Comments(0)

『LA LA LAND』鑑賞

ラ・ラ・ランド スタンダード・エディション [Blu-ray]

ライアン・ゴズリング,エマ・ストーン,カリー・ヘルナンデス,ジェシカ・ローゼンバーグ,ソノヤ・ミズノ/ポニーキャニオン

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アカデミー賞の場で、史上最大のぬか喜びをさせられたのが標題の作。興行そのものは成功したといってよいのですが、どうも滑稽なイメージがまとわりついてしまったようですね。

さて、ストーリーは典型的なボーイ・ミーツ・ガールの恋愛モノ。女優をめざすミアとジャズピアニストとして、自らの音楽を追及したいというセブが出会い、自らの夢と二人の愛情の間で揺れ動き、そして最後はお互いの道を歩んでいく、という余韻残しの失恋物というのが大雑把なストーリー。

この映画はストーリーを見せるものじゃなくて、ダンスを魅せるのが最大の特長でした。オープニングで、ハイウエイの渋滞にはまった車から一人の女性が路上に出てきて、いきなりダンスを始めると、別の車からも次々と人々が降りてきて、様々な歌とダンスを繰り広げる。このシーンで一気に映画の中の異世界へ引きずり込まれてしまいました。

題名の「LA LA LAND」とはロスアンゼルスと架空の空想の国とのダブルミーニングとなっているそうです。空想の国「LA LA LAND」の中では、二人それぞれの夢も、二人の間の愛情も順調に育っていく姿が描かれます。趣向を凝らした舞台で繰り広げられる二人のダンスシーンは、単純に美しい。「雨に歌えば」などの古いミュージカル映画を思わすような、夢のような一時。

しかし、現実のロスアンゼルスでは、二人を取り巻く環境は非常に厳しい。オーディションに落ちまくるミアと、金のために自らの音楽性とは違うバンドで活動するセブ。そして、お互いがお互いの夢の実現のための努力から逃げていることをなじり、関係が壊れていく…。まさに現実には良くある話です。ゆえに、空想の国の中のダンスシーンがより甘美なものに感じられるというわけです。このあたりのさじ加減が実に巧み。

ただし、先にも書いたとおり、ストーリーがあまりにもオーソドックス過ぎ。使い尽くされた類型的物語であったがゆえに作品賞のオスカーは逃してしまったのではないでしょうか?材料は大したことなくても調味料の使い方が上手い、というのはいい料理人の条件ではありますが、ややテクニカルな部分に走りすぎた感はあります。

単純に画面上で繰り広げられるシーンの美しさだけを鑑賞している分には十分に満足できる内容でした。映画館の大きなスクリーンで観たかった作品です。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-11 17:26 | エンターテインメント | Comments(0)

矢島美容室 THE MOVIE ~夢をつかまネバダ~メモリアル・エディション [DVD]

ストロベリー,マーガレット,ナオミ,黒木メイサ,山本裕典/ポニーキャニオン

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TVCM華やかななりしころは、CMで使われたフレーズが好評で、そこを中心に無理矢理曲にしてしまい、それなりにヒットしたなんて例が結構ありました。有名なところでは『勇気のしるし』(リゲイン〜24時間戦えますか?ってフレーズが有名ですね)、『いまのキミはピカピカに光って』(カメラのCM。今はおばちゃん役が板についた感のある宮崎美子が巨乳アイドルとしてTシャツを脱ぐシーンが有名ですね)が挙げられます。

標題の作は、とんねるずの番組内での架空のユニットに、無理矢理キャラをかぶせて作ってしまった映画。まあ、作りは推して知るべし。チープな映画です。元々がコントを演じるためのユニットですから、映画の中に様々なくすぐりが入っていました。今見ると、おかしさよりは「懐かしさ」を感じてしまうギャグばっかりでしたけどね。そもそも「矢島美容室」というユニット名そのものが、30年近く前の『とんねるずのみなさんのおかげです』内のコントに際して作った「矢島工務店」のもじり。ウィキペディアとかなしでこのハナシが通じてしまうのは、40代以上でしょうね。

内容とかストーリーとかを味わうとか追いかけるとかそういうレベルの作品じゃありません。いかに笑わせてくれるかが焦点だったのですが、まあ、げらげら笑うまでには行きませんでしたね。下手に「映画」なんてしゃっちょこばらずに、往年のコントのノリをそのまま再現してくれたほうが面白かったんじゃないかな、というのが率直な感想。まあ、とんねるずの全盛期を知っているだけに無残だな、という気持ちのほうが強かったですね。

一方で、ちょっと救いだったのが、ミュージカル風のシーン。曲はすべて出演者でもあるDJOZMAが作ったそうなのですが、そこそこのクオリティーに仕上がっていたように思います。まあ、曲そのものはモロパクリのフレーズばっかりでしたけどね。

その他は、さまざまな人々がカメオ出演していたのが、お笑いポイント。期待せずに観た作品でしたが、期待を裏切らないチープさでした。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-11 17:02 | エンターテインメント | Comments(0)

EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅

スコット・ジュレク,スティーヴ・フリードマン/NHK出版

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何故買ったのかわからない一冊。おそらく日替わりのバーゲン書籍としてラインアップされていたのに釣られてしまったのでしょう。なにしろ、内容はウルトラマラソン(通常のマラソンの4倍近くを走ることになる100マイルマラソンが主な参加レース)のランナー、スコット・ジュレク氏のお話なのです。

超肥満体で、しかも根性なしの私がもっとも嫌うのが長距離走。ラグビーを真剣にやるようになってからは、それでも多少は走るようになりましたが、フルマラソンはおろか、10km走るって考えただけでも気が遠くなりそうです。おそらく10kmを走ったのは、高校時代の校内マラソン大会が最後でしょう。さて、著者はそのウルトラマラソンを走ることに無上の喜びを覚えるという、私の思想信条からすれば思いっきり変な人です。実際に彼も彼のライバルたちも、周りの人間からは変わり者だと思われていることが多いようです。著者自身がそう書いていましたし、ランナーが走るときに脳内に分泌されている物質は、薬物などと同様の多幸感(いわゆるランナーズ・ハイ)をもたらすそうですので、元薬物中毒者、という方も多いそうで、ますますもって近寄りがたい方たちです(笑)。

著者は、自分にはフルマラソンでチャンピオンになる速さはないが、距離が長くなればなるほど強いランナーであるとの自覚を持ち、ウルトラマラソンに挑戦し、数々の大会で優勝したり、記録を打ち立てたりします。十分にトレーニングを積み、食事にも気をつけて、なおかつ、走っている最中に襲ってくるさまざまな雑念を払い、アップダウンが激しかったり、昼夜で気温が激変するような過酷な環境にもめげず、重篤な怪我にも負けず、トップでゴールすることを目指すのです。

ここで、驚嘆したのは、とにかくあきらめないという強い気持ちを持ち続けられるメンタル面の強さです。私も近所の公園を走ったりしますが、たとえ3周(1周1km強)走る、と決めて走り始めても、最初の1周で早くも「3周走ろうかな、それとも1周でやめちゃおうかな」という雑念がよぎります。次には体の痛さ。いつもの通り、左の踵が痛いな、おや、今日は大臀筋まで痛いぞ、あれ、右のひざまで痛くなってきた、腰にも張りを感じ始めたぞ…。とにかくサボろう、サボろうという気持ちが間断なく襲ってきます。ウルトラマラソンなんてのは文字通り一日中走り続けるわけですから、こうした悪魔の囁きを丸一日聞き続けることになります。とてもじゃないけど私には抗いきれません。これだけでも尊敬に値しますね。

さらに、足の指の骨折や、じん帯断裂などの、救急車で運ばれても不思議でない怪我をレース中に負っても走り続け、栄冠を手にしてしまうことも少なからずあったようです。いやはや。「人種」が違うとしか言いようがありません。

さらに、彼はヴィーガンでもあります。すなわち、植物性の食物しか摂らないという、筋金入りの菜食主義者です。肉も魚も卵も乳製品も摂らずに何故こんなにスタミナが持続するのでしょう?著者は、実際に自分が食べている料理のレシピなども詳細に紹介しながら、ヴィーガンになるに至った経緯を明かしています。この食生活も私にはまねできそうにありません。

そんなこんなで、私とは、丸っきり思想信条も生活態度も正反対の人物の自叙伝でした。こういう生活はアスリートとしての究極なのかもしれませんし、片岡鶴太郎氏のように不健康なまでに健康な体を作り上げるには有効なものなのかもしれませんが、私には絶対無理(苦笑)。せいぜい、晩酌のつまみを揚げ物から魚肉ソーセージにするとか、間食をなくすとか、走る距離を少し伸ばすくらいのことしか出来そうにありません。それすらも辛いんですけどね・・・。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-08-29 19:22 | 読んだ本 | Comments(0)

昨年、一昨年は諸般の事情により、生観戦する機会に恵まれなかったのですが、今年は開幕から行ってきました。サントリーサンゴリアスvsキヤノンイーグルス。昨シーズン無敗という無類の強さを見せたチャンピオンサンゴリアスと、田村優、エドワード・カークというサンウルブズでも活躍する二人の有力プレーヤーが加入したイーグルスの注目の一戦です。

当日は、一日中雨が降ったり止んだりの不安定な天候。試合開始時点では雨はすっかり止んだのですが、湿気がべっとりと肌に貼りつくような空気は選手にとってはやりにくいコンディションです。当然観戦状況も快適とは言えませんでした。こういう試合はハンドリングミスが多発します。パスミスやノックオンなどが多々見られ、スクラムが増えて、FWはますますシンドくなるという試合展開になりがち。アタッキングラグビーを標榜するサンゴリアスは球のつなぎが命。開幕戦ということもあって、緊張でボールが手につかないなんて場面があるかもしれません。というわけでイーグルスにも十分勝機はあるという見込みの下でキックオフを待ちます。



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試合前のサンゴリアス。いち早く集まり、さっと自分のポジションへと散ります。

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対照的にイーグルスはじっくりと円陣を組んで士気を高めていきました。

というわけで2年ぶりの生観戦はサンゴリアスキックオフで開始。両チームともにあまり固さもなく、ミスもほとんど生じない、事前予想とは異なる立ち上がり。サンゴリアスは王者の風格というところでしょうか。でもイーグルスもチームとしての対策をしっかりと立ててそれを遂行するトレーニングを十分に積んできたようです。簡単なミスでスタジアムの人が一斉にため息をつくようなシーンはほとんどありませんでした。

スクラムも互角。

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サンゴリアスは石原、中村、須藤と第一列のスタメンは全て明治OB。なかなか珍しい光景でした。

ラインアウトもほぼ互角。
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どちらのチームもマイボールは確実にキープ。スチールもスローミスもなし。

先制こそサンゴリアスが果たしましたが、その後前半の後半までは締まった展開の試合が続きます。イーグルスはサンゴリアスの高速アタックをよく止めていましたが、いかんせん守りに手一杯で攻めにまでは手が回っていないという印象でした。

守る方にばかり走らされていると、スタミナ切れしてしまい、いざ攻撃となった時には目一杯の走りってなかなかできないものです。逆にいうと、イーグルスをスタミナ切れさせたサンゴリアスの攻撃力は大したものだっていうことになるんですけどね。ディフェンスらしいディフェンスの局面がないくらいせめていたという印象があります。

後半、イーグルスは1本だけトライを奪いますが、反撃もそこまで。サンゴリアス完勝と言って良い試合でした。サンゴリアスには今シーズンワラビーズで100以上のキャップを得た、マット・ギタウ選手が加入し、早速この試合もスタメン出場していましたが、彼だけが突出して目立つようなシーンはありませんでした。チームへのフィットがまだまだ足りないのか、それともギタウ選手が目立たないくらいサンゴリアスの各選手が躍動していたのか?シーズンの深まりに連れ、その答えは明らかになっていくでしょう。











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# by lemgmnsc-bara | 2017-08-20 12:41 | ラグビー関連 | Comments(0)

31回目のカンコンキンシアターは初の、公演初日鑑賞。小雨模様の空の下、新大久保のグローブ座を目指します。恒例の公演ポスター写真。

今回は出演者の姿も無く、かなりシンプル。まあ、いつもポスターと実際の内容にはほとんど関係がないので絵柄は別に気にしてません。
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初日だけあって、さすがに物販コーナーにはモノがあふれかえっていたので、数年ぶりのTシャツと、毎回買い求めている「軍人魂」を購入。

というわけでいよいよ舞台本番です。オープニングから、少々異変が。森一弥のアクションと天野ひろゆきの言葉選びが楽しい「森です」コーナーがなくなっちゃったんです。結構好きなコーナーだっただけに残念。かわりに森一弥はみずからの「うわさの彼女」をネタにして、舞台を通り過ぎてはいましたが、物足りなさは否めませんでした。

そしてこの物足りなさは、残念なことに、最後の最後まで続いてしまいます。初日ということもあり、演者のエンジンが温まりきっていなかったせいもあるでしょうが、そもそものネタも、アドリブも中途半端。そのわりに下ねたはストレートすぎ。一つのチームとしての一体感の醸成が足りていないな、という印象でした。

その中で関根座長の毒舌評論家コントはさすがでした。安藤裕子をズバリと真正面から貶す「裏関根」をみごとに出現させていました。このコーナー個人的にも一番笑ったし、観衆の笑い声も一番でかかったように思います。

対して、一番最後の大ネタ、故林家三平とその一家を題材としたコントは今ひとつの出来だったように感じました。昨年までの長嶋茂雄氏のコントの設定をそのまま林家一門にもってきただけ。各人の過去の姿と現状とのギャップについての風刺はなかなか面白かったのですが、そもそもの題材がメジャーすぎて、いつものマニアックさに欠けていたような気がしますね。

夜の公演だったので、グローブ座の「門限」を守るために、最後の方ははしょっちゃったのがミエミエでしたし、恒例のお白州もないまま。それでも気がつけば3時間まるまるネタを演じていたのですから、大したものではあるんですが…。次回はマチネ公演の回を予約するとともに、初日は避けたいと思います。今回も最初は楽日をねらって申し込んだのですが、人気が高くて取れませんでしたから…。ツウはちゃんとチームの熟成がきちんと進んだころあいを心得ていますね。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-08-17 09:20 | エンターテインメント | Comments(0)

岳飛伝 八 龍蟠の章 (集英社文庫)

北方謙三/集英社

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岳飛伝も巻を重ねること8冊目。梁山泊軍、南宋、金国の三大勢力に、西遼、大理、南越等の周辺国の情勢も盛り込まれ、いよいよ事態は複雑化していきます。

とは言っても、実際の武力衝突はなく、やがて来るべき「決戦」を見据え、各勢力が様々な方法で力を蓄える姿の記述が中心となっています。

水陸ともに設備、体制を整え、商流の充実により「資本主義国家」として発達しているのが我らが梁山泊軍。英雄豪傑が集い、武によって民の暮らしを豊かにしようとした、作品開始当初からは大幅に方針を変更していますが、産業を興すことでそこに関わる民に益をもたらし、商流を発達させることで、得た益を有効に活用させる、という仕組みはまさに近代国家ですね。秦容が南越に作り上げつつある甘藷糖の生産基地に至っては老齢や怪我などのために戦の第一線を退いたメンバーたちの福祉施設とでもいうべき機能まで果たしています。

三大勢力の一角、南宋は秦檜のリーダーシップにより、中央集権国家としての体裁を取り戻しつつあります。最近ほとんど登場の場がありませんが、張俊という人物が率いる軍閥も依然として力を保ったまま。梁山泊軍にとっての最大の「仮想敵国」であることは間違いありません。

残る一つ、金国は目の上のタンコブとでもいうべき梁山泊を疎ましく思い始め、南宋との連携を模索し始めます。

そしてこのシリーズの主人公、岳飛は裸一貫の状態から、三千人の人員を従えて、再起ロードをたどり始めます。隣接していると言って良い、秦容の生産基地を訪問するなど、梁山泊軍との距離を縮めるのですが、この二つの勢力が合流するのか否か、現段階ではまだ明らかになりません。

いずれにせよ、物語はクライマックスに向けて、大きく舵を切ったというところでしょうか。目の離せない展開となりそうです。本屋の店頭には文庫版の第9巻が山積みとなり、10巻目の刊行も近いようです。電子版の出版が待ち遠しい、という感想を今巻の読了後にも感じました。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-08-13 14:46 | 読んだ本 | Comments(0)

超高速! 参勤交代リターンズ [DVD]

佐々木蔵之介,深田恭子,伊原剛志,寺脇康文,上地雄輔/松竹

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かなり以前に紹介した『超高速!参勤交代』の続編。敵役の老中松平信祝(陣内孝則)が陸奥の小藩湯長谷藩の藩主内藤政醇(佐々木蔵之介)に無理難題を吹っかけ、それを政醇や家臣たちがさまざまな知恵でしのいでいく、というストーリーの骨子は前作と変わりません。ただし、今作は前回よりもハードボイルドかつ、ハートウォーミングな仕上がり。道中の難関をいかに上手くだまくらかして江戸に向かうかが焦点だった前作とは違い、柳生一族や、老中の直属軍などの手だれたちが次々と一行に襲い掛かります。

対する、湯長谷藩一行も政醇自身が並外れた剣豪であるのに加え、柳生の名のある武士と戦って一歩も退くことのない強者荒木源八郎(寺脇康文)や、弓の腕前なら那須与一をもしのぐのではないかという描き方をされる若者鈴木吉之丞(知念侑李)など、文字通りの少数精鋭。前作で湯長谷藩のシンパとなった忍者の雲隠団蔵(伊原剛志)も、風車の矢七よろしく、一行のピンチにはどこからともなく駆けつけるというヒーロー振りを魅せます。

敵の大軍を前に、矢尽き刀折れ、団蔵の投げる煙幕弾も底を突き、という「必殺シリーズ」であれば、メインキャラの誰かが死んでもおかしくないようなシュチュエーションがかなりの長い間続くのですが、不思議に悲壮感がありません。これはいったい何故なんでしょう?血を見せるシーンがほとんどなかったことか?BGMの違いか?演じている役者が毒々しくないからか?なんというか、私にとっては非常に不思議なシーンが展開されました。

最後の最後までかなり重厚な殺陣のシーンなのに人の死を意識させないつくりになっていました。それゆえ、政醇と信祝の直接対決の最後のシーンとセリフの重さにつながるのだと思いますが…。

まあ、肩の凝らない娯楽作としては良くできた作品だったと思います。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-08-13 13:25 | エンターテインメント | Comments(0)

『オーケストラ!』鑑賞

オーケストラ! [Blu-ray]

アレクセイ・グシュコブ,メラニー・ロラン,フランソワ・ベルレアン,ドミトリー・ナザロフ,ミュウ=ミュウ/Happinet(SB)(D)

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ロシアの一流オーケストラの元指揮者を主人公としたヒューマンコメディー。

ボリショイ楽団のコンサートホールの掃除係アンドレイは、かつては世界的に名声を博した名指揮者でしたが、ブレジネフ体制下のソ連において採られていたユダヤ人排斥に対して反抗したため、コンサート中にタクトを聴衆の面前で折られるという屈辱を味わわされた過去を持っています。そんなアンドレイはパリの有名なコンサートホールから届いたボリショイ楽団への出演依頼をたまたま盗み見てしまい、本チャンの楽団の代わりにパリに乗り込むことを決意します。

とはいえ、指揮者一人いても演奏者がいなければ楽団は成り立ちません。というわけで昔の仲間を何とか集めようとするのですが、30年間ほとんど楽器を触っていない人々ばかり。それでも何とかなだめてすかして人集めに奔走する姿が序盤の笑いどころ。

アンドレイが楽団のマネジメントとして採用したのはかつてコンサート中にタクトをへし折った元KGB部員ガブリーロフ。この元KGB部員がまた共産主義の復活を熱烈に願っており、その姿もややステレオタイプな描き方ながら笑いどころではあります。

さて、パリのコンサートホール側にも何としてでもボリショイ楽団に来てもらわなければならないという理由がありました。本当ならLAフィルを呼ぶ予定だったのがキャンセルを食い、ホールの支配人の進退問題になっていたのです。

そんなわけで、アンドレイとガブリーロフは足元を見て散々いろんな条件をつけます。その中でも一番の難題は、世界一と評されているアンヌ=マリー・ジャケとの共演でした。到底叶うはずのない希望のはずだったのですが、アンヌ=マリーはアンドレイが指揮者であることを知り、共演を承諾します。

しかし、楽団員たちはパリに来ただけで浮かれ上がり、三ツ星ホテルでフロントに群がるわ、ギャラを前払いしろとコンサートホールの係員に詰め寄るわ、やりたい放題。おまけに誰一人外出先から帰って来ず、リハーサルもできないまま。呆れたアンヌ=マリーは共演の取りやめを宣告。困ったのはホールの支配人とガブリーロフ、それにアンドレイ。果たしてコンサートは無事開催できるのか?というところでいつもの逃げ口上。これ以降は是非とも作品を実際に観てください。

結末はいわゆるスポ根モノによくありがちなもの。すなわち「勝利は全てを癒す」という締め方です。どのように「勝利」したのかがこの作品の肝ですので、再度ストーリーは語りません、と逃げておきます。

あんまり期待せずに観た一作でしたが、なかなかよくできた作品であったと思います。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-08-06 19:29 | エンターテインメント | Comments(0)

清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実 (文春e-book)

鈴木忠平/文藝春秋

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覚せい剤使用で、自らの栄光の日々に泥を塗ってしまったのが清原和博氏。彼が一番輝いていたのは、高校時代の甲子園。こちらももはや昔日の輝きを失った(輝きも何も、野球部そのものがなくなっちゃいましたね…)高校野球の名門PL学園で1年生から4番に据わり快打を連発していた頃です。

彼が在学中の甲子園は5度。そのすべてに出場し、うち二回は全国優勝を遂げました。彼個人としては13本のホームラン(これは現在に至るまで高校球児が甲子園ではなったホームランの最多記録であり続けています)を放ち、「天才」、「怪物」の名をほしいままにしていましたね。

標題の書は、清原氏にホームランを打たれた人の投手たちの「それまで」と「それから」を描いたルポルタージュ集です。これに記事が掲載されたらまずメシの食いっぱぐれは無いといわれている一流スポーツ雑誌「Number」に連載されたものを集めて編んだ一冊です。

清原選手に本塁打を打たれた投手は9人。9人の高校球児がいれば9通りの野球人生があります。彼らがどんな思いで日々を過ごし、甲子園を勝ち取ったのか?そして彼らの球をスタンドに放り込んだ清原選手はどんな存在だったのか?これを、清原氏の視点を一切交えることなく、すべて彼と相対した人物の視点で描き、清原氏の怪物ぶりを際立たせています。見事な構成です。のちにプロで対決することとなる投手もいれば、彼に打たれたホームランによって、その後の人生ががらりと変わってしまった投手たちの姿も描かれます。あの時の清原氏は一人の選手というよりも、高校野球界をゆるがした一つのムーブメントそのものであったと言えますね。実に大きな存在でした。

時たま間に挟まれていた高校時代の清原氏の初々しいこと。金髪にピアス、刺青に過剰なほどのマッチョ体型(その後ブックブクのおデブちゃんに変わっちゃいましたが…)という後年の姿からは想像もつかないような、ひたむきな野球少年の姿がそこにはありました。こんな野球少年がどうして薬物に手を出すような不良中年になってしまったのか…?やっぱりそこには桑田単独指名という驚愕の結果となった、ドラフト会議の影響を挙げざるを得ません。あそこで本人の希望通りに巨人に入っていたら…というifをどうしても考えてしまいます。後年、功なり名を遂げてFAで巨人入りしますが、チャンスに打てないでブーイングを浴びていたというイメージしかありません。巨人での最晩年は「番長」などと呼ばれて一部のマスコミに祭り上げられていましたが、トラブルメーカーでしかなかったような気がします。そこでのストレスが彼に覚せい剤という魔のクスリを選ばせてしまったのでしょう。過去が輝かしければ輝かしいほど、自分の現状が惨めに思えたのではないでしょうか。

今の清原氏は落ちるところまで落ちたという感があります。しっかりと更生して何らかの形で野球に携われる日がくるといいですね。





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# by lemgmnsc-bara | 2017-08-06 19:00 | 読んだ本 | Comments(0)

極悪鳥になる夢を見る (文春文庫)

貴志 祐介/文藝春秋

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ホラー小説の第一人者貴志祐介氏の初エッセイ集。ご本人はおそらくこれが最初で最後のエッセイ集になるだろうと文中で述べてもいます。なんでもエッセイだと自分の文章を見ているのが恥ずかしくなるからだとの理由だそうです。


この感覚なんとなくわかるような気がします。この方はおそらくは非常に真面目なんだと思います。文中に時折織り交ぜるジョークの類も、真面目な人が無理矢理ひねくりだしたような感がありました。本人としては意を決して発したジョークなのでしょうが、文章全体の雰囲気から笑ってはいけないのではないかという、空気がかもし出されています。これは決してマイナスイメージではありません。非常に丁寧に作りこんでいるのであろうことが伺えるのが貴志氏の小説の特色であり、その几帳面さがそのままエッセイの文章にも反映されているというのが率直な感想。おかしなフレーズさえ氾濫させれば面白くなるってもんじゃありませんし、フレーズばかりが先行して内容がスカスカでもプロの作家としての名折れとなりますね。貴志氏が書きたい内容については、ヨタを交えずに書き切った方がおそらくは上手く読者に伝わるのだと思います。
いいんです、面白いフレーズは他の人に任せておけば。貴志氏の真面目なホラー小説は十分に面白いんですから。

文体のお話はさておき、興味深かったのは、貴志氏の作家になるまでの道のり。元々本を読むことが好きで、幼少の頃より外で遊ぶよりは読書を好む傾向にあったようですが、読書が好きなことと、自分で作品を書いてみたいという欲求の間には大きな壁が存在します。貴志氏も、一度は文筆の道をあきらめて保険会社に就職しますが、8年の会社生活の後、どうしても作家になりたいとい欲求に抗えずに、ご本人の言によれば「まったく先の見込みなどない」状態で、所得の面では安定極まりない会社を辞して作家となる道を選ぶのです。う~ん。この辺、文筆業に進みたいと思いながらも会社に恋々としがみついている私にとっては、わが身の度胸の無さを改めて思い知らされる条りです。

さらに、作家としての船出も決して順風満帆なものであったわけではなく、角川のホラー大賞を受賞するまでには数々の挫折があったようです。そうそう、最初から上手くいく人はそうそういるわけじゃないんです。ちょっとだけ安心しました。すでにホラー小説界で堂々たる「名跡」となっている貴志氏とまだ何も書いていない私とを比べることはそもそも不遜だ、というお話もありますがね…。気持ちが上がったり下がったり。こういう気分を味わわせてくれるだけでもこの一冊を読んだ価値があったと思います。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-07-29 05:21 | 読んだ本 | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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